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 国家百年の計
投稿:長野 央希
今朝、EURO2024年決勝で、ベルリンにおいてイングランド対スペインが激浪を繰り広げた結果、スペインが4度目の優勝を飾りました。イングランド代表はまたしても悲願の初優勝を逃した結果となってしまいました。
個人的に永きにわたり、イングランド代表を応援してきた身としては、残念な結果ではありました。ただ、今回の大会においては、明らかにスペインとドイツが実力、充実度としても頭一つ抜けている印象がありましたので、まあ仕方ないかと言う思いもします。
イングランド代表を2016年から監督として率いているのがギャレス・サウスゲートです。私としては現役時代から、なかなか好きな選手で、私が一番プレミアリーグを熱心に見ていた1990年代末から2000年台中盤の頃に、アストンビラやミドルスブラという中堅チームで主力として活躍し、代表でも活躍していたことが大変懐かしく思い出されます。派手さがあるわけでもなく、実直で無骨でいぶし銀の様な渋さを感じさせてくれるような選手だった気がします。そんなサウスゲートが監督になって、うれしい気分になったものです。
その彼は、確かに戦術眼に優れているというわけでは無いと思います。現役時代にやはり個人的に好きだったグアルディオラは、革命を起こすような戦術をもって、常にサッカー界を牽引していますが、サウスゲートは明らかに異なるタイプの監督と言えましょう。どちらかと言えば、モチベーターのようなタイプなのかもしれません。
今回の大会では、グループリーグでの低調な試合によって、マスコミやファンから、相当ぼろくそに叩かれ続けていました。それが、準決勝でオランダに勝った直後、手のひらを返したように賞賛されるようになり、決勝でスペインに敗れて、再びぼろくそに叩かれています。確かに結果が出せなかれば、叩かれるのは仕方の無い仕事であるのは事実です。タレントがそろっているのに、この結果と言うことで期待が大きい分の失望が批判を増大させているのでしょう。ただ、この30年を振り返って、イングランド代表は常に素晴らしいタレントがおり、他国からすればうらやましいような選手層であったにもかかわらず、ほとんど常にと言って良いほど、結果が残せてきませんでした。選手層からしたら、どう考えても、それに見合った結果を残せた監督はいなかったと言っても過言ではないでしょう。それに対して、サウスゲートは曲がりなりにも結果を残してきました。W杯でベスト4であったり、EUROでは2大会連続で準優勝という、結果だけ見れば、恐らく歴代のイングランド代表監督としては最高の称号を得ても良いようなレベルです。
魅力的なサッカーを展開していないというのは否めないかもしれませんが、従来のイングランド代表は、往々にしてあまり魅力的な試合運びをしてきた例が思い出しにくいのも事実です。
いずれにしろ、サウスゲートは一度代表監督を退いて、ゆっくり休息してほしいというのが個人的な願いです。別の監督になったときに、豊富にそろった選手達を率いて、どこまでの結果が残せるのか見物です。なんだかんだで、サウスゲートを懐かしむような風潮が醸成されるかもしれません。私が気になるのは、今回のように1回の結果で一喜一憂して、SNSで猛烈に賞賛したり、猛烈に避難したりする風潮です。現代社会は、言論の自由があり、誰もが、SNSなどを使って自由に自分の意見を発信出来るという素晴らしい側面があります。ただ、多くの人が、思慮浅く短絡的な自己主張を繰り返すことに大きな懸念を抱かざるを得ません。スポーツや芸能であれば、そこまで大きな社会問題にはならないかもしれません。しかし、政治ではそうはいかないでしょう。
長期的な視点に立った国策というのは、多くの民衆には結果が見えない分、よほどの先見の明がある人でなければ、その政策に強い批判の目を向けることになるでしょう。その政策を主導する人は、次回の選挙で当選できない可能性があります。短絡的に今さえ好ければ良いという人からすれば、いわゆる「国家百年の計」は耐えがたいものと感じられ、それをSNSで猛烈に批判し、その批判の声が大きくなれば、結果的に政策を動かす原動力になり得ます。
政治家も、選挙のために、短期的に結果が出るような活動に終始してしまうかもしれません。それは将来的な国家の衰退を招くことにはなるのではないかという危惧につながります。
もっとも、今の政治家でそんな長期的なヴィジョンを持った人がどれほどいるのかは分かりませんが、民衆の顔色うかがい、選挙の結果にしがみつくような政治家が増えることは間違いなく国力の低下につながります。
米国で、トランプ候補が銃撃されるような事件がありました。分断のすすむ米国は日本の将来像ともいえます。意見の違うものを亡き者としようとすることは、相手の意見に耳を傾け、議論を重ねていくという民主主義の理念に大きく反するものです。
長期的な視点に立つこともままならない政治、まともに意見の相違を議論によって修正していくことも出来ない政治が主流となるのであれば、それは民主主義というシステムの限界を見ているのかもしれません。




2024年7月15日(月)

 
投稿:長野 央希
今年も魚沼では蛍の時期を迎えております。
昨日の夜では、魚沼は結構激しく雨が降ったり、やんだりを繰り返しておりました。雨なので、蛍もお休みかなと思っていたら、結構、沢山飛んでおりました。
毎年、蛍の様子を見ていると、やはり、6月中旬から飛び交いだし、7月の中旬くらいには、かなり減ってしまうような印象があります。
時々、5月下旬や6月上旬にフライングのように一匹で飛んでいたりするケースがあり、その一匹ははたして仲間に出会えたのだろうかなどと心配になってしまいます。
今年は、ここ数年では、一番数が多いように思われます。気温が高い影響なのか、冬場に雪が少なかったりした影響なのか等、あれこれ考えながら、蛍を見ておりました。
先週は、大分月明かりが明るくて、結果的に蛍が見辛くなっていました。当然、蛍が飛んでいるような場所なので、辺りは真っ暗です。街灯もなく、近くに鳥居があるので、場合によっては肝試しのような恐ろしい雰囲気すら感じるような所でありますが、先週は月の明かりで、足元も大変明るく、いつもなら川に落ちないように恐る恐る歩いていますが、この時ばかりは大変余裕をもって川沿いを歩けました。月の明かりって、ここまで明るい物なんだなと実感しました。
また、近年はクマがよく山を下りてきているので、こんな場所でクマに遭遇したら、どうふるまえば良いだろうかと若干びくびくしたりもします。

蛍のはかない光と、本当に短い活動期間から、生命の愛おしさや尊さを改めて感じさせられます。
蛍の飛び交えるような自然環境を守っていければと切に願う今日この頃です。

2024年7月4日(木)

 紅麹事件
投稿:長野 央希
小林製薬が「紅麹」による健康被害と自主回収を発表したのが、3/22でした。6/27に厚労省に対して、「死亡に関して遺族から170人分の相談を受け、そのうち79件で紅麹の接種を確認した」旨の報告を行ったとのことです。これを受けて、厚労相が三か月もの期間報告がなかったことに対して、小林製薬に調査を任せずに、厚労省が調査の管理を行うとの発表をされております。
ここまでの調査によると、現段階では、紅麹そのものの問題というよりは、製造過程で混入したアオカビの影響で生成されたプベルル酸が健康被害を起こした可能性が示唆されております。

そもそも、紅麹というのは、よく食卓でも恩恵を受けている麹とはまるで違うものです。麹は、アスペルギルス族と言う真菌であり、紅麹はモノスクス族と言う真菌です。真菌(カビ)であるという共通項はありますが、カビの種類としては大きく異なっております。
紅麹は、米に紅麹菌を混ぜ入れ、発酵させた米麴であり、その成分の中でGABAは血圧低下に、モナコリンKはコレステロールの抑制にかかわってくるということです。この米麹を作る過程で、アオカビが混入してしまった模様です。
プベルル酸は、腎関係の健康被害を生じさせることは確認されておりますが、本当にこのプベルル酸が、今回の事件の原因物質なのかは現状調査段階であります。
一方で、日本腎臓学会の調査では、これまで報告された患者のほぼ全てがファンコーニ症候群を呈していたとのことです。ファンコーニ症候群とは、腎臓の近位尿細管の機能異常(全般性溶質輸送機能障害)であり、薬剤によって惹起されることがあります。近位尿細管でのカリウム、リン、ブドウ糖、アミノ酸などの再吸収が阻害され、結果的に筋力低下や脱水、倦怠感などの症状を引き起こしていきます。代謝性アシドーシス(血液が酸性に傾いた状況)が生じるため、治療としては、大量のアルカリの補充を要することになりますが、サイアザイド系利尿剤の投与やカリウム、リン、ビタミンDの補充、充分な水分補給が重要な治療となります。通常は、原因薬剤の中止で、腎機能が改善することが多いのですが、今回は、紅麹の摂取中止後も、腎機能が正常化しないという報告も出てきております。

紅麹中止後、腎機能が長期間かかっても、最終的に正常化していくのか、腎機能障害が残ってしまうのかはもう少し長いスパンで経過を見る必要があります。また、紅麹を摂取後、遅発的に腎機能障害が起きてくる場合があるのかも、もう少し経過を追う必要があります。
いずれにしろ、製造過程で今回はアオカビという異物が混入してしまった事実は重く受け止める必要があります。
とはいえ、アオカビを敵視するのはお門違いです。アオカビはペニシリンという抗生剤の生成にかかわっておりますから、いま世界中で抗生剤の恩恵を受けている多くの人は、アオカビに感謝をしないといけないのです。ブルーチーズが好きな人たちも感謝すべきでしょう(もっとも、アオカビにも種類がありますので、今回の事件のアオカビはどんなタイプなのかも調査を待つ必要がありましょう)
現在起きている健康被害を調査していくとともに、これからまだ被害が拡大するのかどうかも注視していく必要があり、同時に製造過程で異物が混入した経緯を詳らかにし、再発防止をしていくことが極めて重要です。

2024年7月1日(月)

 最近、思うこと
投稿:長野 央希
先週からサッカーのEURO2024が開催されております。連日、日本時間で言うと、夜間、あるいは早朝に熱戦が繰り広げられております。開催国のドイツは、なかなか好調なスタートを切っております。最近の国際大会ではドイツ代表は結果を残せておりませんので、相当に気合いが入っているでしょう。
個人的には昔からイングランド代表を応援してきましたから、今回も応援はしています。ただ、イングランド代表は、昔から多くのタレントを擁している割に、ここぞと言うときに勝負弱かったり、本来の実力を出せなかったりという面が目立ちます。あれだけのメンツなら、もっと完勝しても良さそうなものと思いつつ、この二十年以上、結果が見合っていないように感じてしまうのは私だけでしょうか?また、盛り上がらない試合内容であったりすることもしばしばで、時に退屈とすら言える内容もあることも否定出来ません。もっとも、そういったタレントの割に試合が低調なところや、重圧に弱いようなところが、応援したくなる所でもある気はします。
同時に、デンマークも好きな国で、その両国が昨晩戦い、まさに痛み分けという結果となっております。セルビアもストイコビッチ監督が指揮を執っており、頑張ってほしいところですが、その三国は同一グループにおり、なかなか複雑な心境です。
来月中旬まで戦いは続いていきますが、そんな中、フランス代表のエムバペ選手が、母国フランス国内で、極右政党の躍進を受けて、危機感を募らせ、若者に対し、サッカーの試合よりも重要なことがあるというような主旨の発言をし、選挙に行く様に呼びかけたという報道を見ました。
まさにその通りでしょう。
欧州各国は、移民問題もあり、COVID-19後の経済問題やウクライナでの戦争支援の問題もありで、政治的には大きな変革期を迎えつつあるのかもしれません。英国では、保守党は次回選挙で大敗を喫することが予想されております。
EUの結束の問題も浮き彫りになってくるでしょう。自分達の生きている国や地域の土台に関わる政治に関心を持って然るべきでありましょう。
これまでグローバル化してきた世界で、その反動のように極右政党が力をつけている、あるいは自国ファーストの傾向が強まっているように見受けられます。米国のトランプ氏もそういったナショナリズムを前面に出している印象があります。(彼の場合、どれほど政治に関心があるのかは不明です。自分が売り込めればそれでいいように見えてしまうのですが)

日本ではどうかというと、やはり政治への無関心が問題ではあるのですが、そんな中で、やはりナショナリズム的発言が増えてきているようには思われます。同時に、デマゴーグ化に拍車がかかっているような危惧を覚えます。
今回、東京都知事選の立候補者が50人を越えるという話です。政治に関心がある人たちが多いのであれば、大変結構なことですが、売名行為であったり、ただ単に目立ちたいだけ、面白いから出てみただけというような人たちが多くなり、政治的な主義主張そっちのけで、SNSの登録者を増やす感覚で選挙活動を展開するようであれば、民主主義は退化していくような恐ろしさを感じないわけにはいきません。
日本で、今後ナショナリズムが拡大していけば、早晩、近隣諸国と戦争になるでしょう。国民はその覚悟があるのでしょうか?また、国は万が一戦争になった場合の備えをしているのでしょうか?米国が助けてくれるという保証はないのです。戦争を避けるためにも、我々国民は真剣に政治にも関心を持ち続け無ければならないと思うのです。

2024年6月21日(金)

 業務連絡
投稿:長野 央希
新型コロナウイルスワクチンが新たに発売されましたのを受け、新型コロナウイルスワクチン接種の御希望があれば、お受けいたします。予約制となりますので、あらかじめ御電話にて御予約をお願いいたします。
尚、これまでは新型コロナウイルスワクチンは公費での接種で無料でしたが、今後は公費ではなくなりますので、15000円となります。
その点、御承知おき下さいますようお願い申し上げます。

2024年5月21日(火)

 業務連絡
投稿:長野 央希
5月10日ですが、医師が学校医として健康診断に行く必要があるため、不在となり、午後の診療を15時半開始とさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解のほどをお願い致します。

2024年5月7日(火)

 業務連絡
投稿:長野 央希
ゴールデンウィーク中の業務形態

4/29(月)休み
4/30,5/1 9:00〜12:30,15:00〜18:00(通常通り)
5/2(木)9:00〜12:30(通常通り)、午後は発熱外来のみ
5/3 休み
5/4 9:00〜12:30 発熱外来のみ
5/5,6 休み
となります。
宜しくお願い致します

2024年4月22日(月)

 業務連絡
投稿:長野 央希
令和6年4月1日より、新型コロナウイルスワクチンは公費ではなくなります。
現段階では、ワクチンの金額が確定しておりませんので、新型コロナワクチンの御予約はしばらくお待ち下さい。
また、これまでは新型コロナウイルスの抗ウイルス薬として、パキロビット、ラゲブリオ、ゾコーバの3種類が一部公費負担で処方できておりましたが、
4月1日より、他の薬剤と同様に、公費負担がなくなります。その点を御承知おき下さいますようお願い致します。
昨今の報道を受けて、麻疹ワクチンの接種を御希望される方が増加しておりますが、ワクチンの製造量の問題もあり、定期接種の子どもや接種が不可欠な医療関係の学生さんが優先されますので、一般成人の接種希望の方は、しばらくは麻疹ワクチンの接種をお受けできない場合がありますので、その点もご容赦下さい。
宜しくお願い致します。

2024年3月31日(日)

 3月11日
投稿:長野 央希
東日本大震災から、13年が経ちました。震災の関連し含む死者、行方不明者が2万2222人、福島第一原発の事故の影響で現在に至るまで福島県内の7市町村のおよそ310平方キロに及ぶ帰還困難区域があり、避難者は尚2万9000人余という状況です。きわめて大きな爪痕を残していると言わざるを得ません。
一方で、今年の正月に発生した能登沖の地震での被害も甚大です。新潟県は石川県に比べれ被害は軽いといえ、それでも県内の住宅被害は2万294棟(全壊が102,半壊2783,一部損壊1万7395,床下浸水14という内訳)で、西区の避難所には今なお6人の方が非難されている状況です。

私は、東日本大震災の際に3/13〜15と石巻に行っていたこともあり、ひっきりなしに震度3、4程度の余震を味わっていた為、揺れに鈍感になっている感がありますが、患者さんと話していると、今回の能登沖地震の余震で、かなり恐怖を感じている方も多く、精神的な面で慢性的に不安やうつ気味になっている方も少なくないことを実感します。

思えば、2000年に入ってからだけでも、中越地震、中越沖地震と言い、東日本の震災の後も熊本の地震などなど、大きな被害を残した地震がたびたび起きていると痛感させられます。

能登沖の地震が起きる前の年末に、西日本出版社の『写真集 関東大震災』という本を購入していましたが、関東大震災直後の焼け野原のような生々しい写真を見ていると、まるで終戦直後の焼け野原の東京なのかと錯覚してしまうほどです。私は東京、埼玉で働いている際に、好きで人形町や馬喰町などをぶらぶらしていましたが、関東大震災と太平洋戦争を経て、よくここまで復興したものだと今更ながらに感動します。日本人のたゆまぬ努力と、強い精神力のなせるわざだとおもいます。

残念ながら、日本では今後も巨大な地震や大雨などに伴う大規模な水害に今後もみまわれると考えなければなりません。自然には勝てないという謙虚さを持ちつつも、天災に対して、常に対策を講じ続けていく必要があるのだと思います。
少なくとも、日本人が日本人としての誇りを持って、謙虚に勤勉に行動すれば、震災から必ず復興できると信じています。
そのためにも、自分たちは大丈夫という、他人事ではなく、自分の身にも常に起きる可能性があるという意識をもって、危機管理を行っていく必要があります。
3月11日は、そういった意識を新たにするべき日だと思います。


2024年3月11日(月)

 学歴社会の弊害
投稿:長野 央希
依然として、韓国の専攻医等のストライキが続き、仕事を続けている他の医師や看護師達の疲弊も顕著になってきているように見受けられます。
そんな中で、一部報道にて、京機道医師会の会長の発言として、成績の低い医師の診療を受けたがるだろうかという主旨の発言が見られました。この発言が、額面通りの意味だとすれば、思い上がりも甚だしいように思えてなりません。既得権益にしがみつき、新たなマンパワーの増加を恐れているように見えます。
医師を増やすために医学部増員をすれば、質の落ちる医師が増えると言うことなのでしょうが、果たしてそうなのかという疑問がわいてきます。
そもそも、学校の成績が優秀だと、医師としても優秀なのかという話になります。はっきり言えば、それは幻想です。少なくとも、臨床医の能力は、必ずしも学歴を反映しているとは限りません。私が若い頃、偏差値で言えば、一流とは言いがたい医大を卒業した先輩の一人はとても優秀で、大分、その人の勉強の仕方や仕事のスタンスを真似させて貰いました。ただ、医師としての理想とかにおいての考え方の相違はあるので、完全な猿まねにはならないように気をつけていましたが、恐らく自分が医者となったとっかかりにおいては、一番学ばせて貰った人だと思います。逆に、偏差値で言えば、トップあるいはトップ5に入るような大学を出ているにもかかわらず、臨床医としての能力に疑問符がつくような人を少なからず見てきました。今振り返ると、能力の低さを感じさせる要因としては@教科書や論文ありきで考えてしまうA臨機応変に対応が出来ないBコミュニケーションが上手く取れない など挙げられます。
@は現実の患者さんの状態に即して物事を考えるというよりは、論文などに無理矢理にでも、患者さんを当てはめようとしすぎる為、現実に起きていることがないがしろにされてしまう恐れがでてくるのです。Aは、医療というのは、刻一刻と患者さんの状態の変化に対応を迫られるものですが、大きな変化にしばしば対処できないことになります。Bは、患者さんや他の医師、コメディカルと上手く信頼関係が築け無いことにつながります。
勿論、偏差値の高い大学を出て、臨床医としても優秀な人も当然いますし、偏差値の低い大学を出て、医師としての能力も低い人もいます。
ただ、学歴が医師としての能力を保証してくれているとは思えません。
優秀な医師という話になれば、遠くない未来にはAIによって生身の人間である医師は淘汰されてしまうかもしれません。

個人的に、日本が太平洋戦争において大敗を喫した要因の一つは、学歴偏重主義にあったのではと考えています。帝国陸軍も帝国海軍も、いわゆる学校秀才の集う場でした。そして、将来の出世は、陸軍士官学校や海軍兵学校の成績順で決まっていました。しかし、学校の勉強ができるから戦上手というのは、全くナンセンスな発想だと思います。年功序列と学校の席次のために実務的な能力が高い者が、然るべきポストに就けなかった例は相当あったのだと思われます。逆に、米国では、海軍の太平洋艦隊司令長官のチェスター・ニミッツは、少将であった段階で、F.ルーズベルト大統領の抜擢によって司令官に着任したという経緯があります。戦争という人命が関わる、極めてリアリスティックな状況下では、学歴ではないシビアな能力判断が不可欠なのです。ニミッツ大将は、日本の東郷平八郎を尊敬していたと言われています。日露戦争の頃までは、確かに参謀クラスは陸軍士官学校や海軍兵学校を優秀な成績で卒業した者立ちが占めていたと言えますが、司令官クラスは、ほとんど士官学校、兵学校を出ていないか、出ていたとしても初期の、そこまで整備されていなかった時期の卒業生でした。そして、その多くは、鳥羽伏見の戦いや会津戦争で転戦した経験があり、ある意味、叩き上げの軍人といえます。戦争という修羅場を実地で体験していて、官僚化されていない将官がやや官僚化しつつある参謀を時に軌道修正したからこそ、バランス良く戦えたという部分もあったのではないかと考えています。
医療も、人命が関わる物です。学歴によらない能力判断ができる方法はないものでしょうか?
私は、優秀なAIに駆逐、淘汰されてしまうのではないかという漠然とした不安の中で、何とかスキルアップしていきたいと考えながら、日々過ごしています。



2024年3月1日(金)

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 訪問診療
投稿:長野央希
魚沼地域で、月一回ながら、訪問診療に携わらせていただくことになりました。患者さんの疾患や状況もさることながら、それぞれの家庭の状況なども千差万別であり、そのため、それぞれのケースで求められる医療も異なり、提供する医療サービスも、それに応じて変化するという意味で、非常にオーダーメイド的といえると思います。
勿論、在宅で行える治療は限られており、いわゆる最先端医療を行うような意味でのオーダーメイド治療とは異なります。
それでも患者さんや御家族の状況によって、そのニーズに丁寧に対応する必要があり、究極のオーダーメイドともいえるかもしれません。
患者さんが、住み慣れた場所で、少しでも長く過ごしていただけるように、医療者は努力する必要があることを、改めて認識させていただきました。
当院でも、徐々に訪問診療などを行っていきたいと考えておりますので、宜しくお願い致します。


2020年7月3日(金)


 日本の医療
投稿:長野央希
自粛解除後、都内では昨日も60人の感染者が判明している。
また、米国では、さらに膨大な感染者数に上ってきている。
米国での陽性者の中での重症者の占める割合がどうなっているのか、どうなっていくのかが注意すべき点ではあるが、少なくとも、3〜4月の頃の状況のような医療崩壊の危機のような状況にはなりにくいのではないかと考えている。今回の新型コロナによる重症化に至る機転が、より分かってきているためである。キーワードはサイトカインストームとDICということになろう。
重症になりやすいタイプの人の傾向もわかるようになっており、そういった方々で重症化しそうな兆候を早めにとらえられることで、DIC治療を早期に行ったり、適切な免疫抑制療法を行い、重症化の芽を摘むことがしやすくなってきていると思われる。
一方で、WHOやCDCは、当初新型コロナに対してのステロイド治療は推奨されないという論調であったが、ここにきてデキサメタゾンは死亡率を低下させるというような報告も出てきており、どちらが正しい見解なのかという問題もある。自分も、短期間ながら、新型コロナ治療にあたってきたため、確実に新型コロナの肺炎でステロイドが一定以上の効果を有していると実感しており、相当数の臨床医は、経験的にステロイドの有効性を把握しているはずである。(勿論、安易にステロイドなどの免疫抑制治療を行うべきではないし、コロナに細菌性肺炎が合併しているような場合では、当然ステロイドは控えるべき状況にもなるが)
そして、実際のところ、WHOが推奨していなかろうが、必要に応じ、ステロイドを使ってきていたと考えられる。
しばしば、日本のマスコミは欧米の医療をほめ、日本の医療に問題があるような報道をされているが、2009年の新型インフルエンザの時も然りであったように、毎年、米国ではインフルエンザで1万人を超えるような死者が出るのである。要するに、ごく一部の、高額な保険を支払っている富裕層が、超一流で最先端の医療を受けられるものの、多くの国民は、さして褒められた医療すら受けられていないという現実があるのである。
国民皆保険の日本では、おしなべて、平均的でそれなりに良質の医療を受けられていることを無視して、日本を貶める報道というのは、明治以来の日本人の西洋文明に対するコンプレックスを如実に表していると言えよう。
安倍首相の言うジャパンモデルが、なにを指しているのかは判然としないが、少なくとも日本の医療を自信をもって世界に発信していくことも重要なのではないかと思う今日この頃である。

2020年6月29日(月)


 
投稿:
現在、魚沼と新潟市を週一回行き来しておりますが、この時期の魚沼での楽しみの一つはホタルです。
小出の市街地からジョギングで行ける距離、あるいは車で五分圏内のところに、隠れたホタルのスポットがあります。
勿論、観光地のようなわけではないので、ホタルが乱舞するような状況とは違いますが、それでも、淡くほのかなホタルの光が、はかなげな美しさを放っています。
昨日も、二か所見てまいりましたが、涼しげにホタルが飛んでいました。そうかと思うと、急に猛スピードで飛んだり、点滅がせわしなくなったりと、見ていて飽きませんでした。
ホタルの光は、色々なものを削ぎ落した、シンプルな美であると思います。
翻って、人間界では、常に宗教や人種、主義主張で、小競り合いが繰り前されています。いたずらに情報があふれているために、その情報におぼれて、結果的に本来の人間のあるべき姿から逸脱したり、人間不信に陥ったりしているように思えてしまいます。
もっと、人間もシンプルに生きれば、より平和共存できるのではないかと思いながら、ホタルの光を目で追っていました。
今年は様々なことがあって、人々も疲弊し、心も荒みがちになっていることもあり、ホタルから、そんなことを考えてしまいました。


2020年6月25日(木)


 世界情勢とコロナ
投稿:長野央希
日本ではコロナの発生件数が減少、落ち着いてきたかのように見えておりますが、世界的には依然として、猛威を振るっております。
WHOの報告では、一日での発症者数が過去最多を更新したとのことです。
ひとたび、規制が緩和されると、なし崩し的に、緩和すべきでないことまで、緩んでしまうというのが人間社会の常ではありますが、気のゆるみも含めて、感染を拡大させている可能性があります。
高温で多湿の環境では、ウイルスの脅威が減ることも期待されておりましたが、パンデミックとなっている現状では、それも期待できないというのが専門家の大方の見方となっている模様です。
殊に米国の連日のデモ、集会は、一層感染を困難なレベルにしているといえましょう。米国政府はコロナ感染対応においても、人種の分断という問題においても、既にイニシアチブが取れていないように見える状況で、はたして、コロナ感染を終息に向かわせるような方策がとれるのか、甚だ疑問です。米国での感染は、少なくとも第二波ではなく、第一波が持続している状態といえます。この状況が遷延している間は、世界中に感染を波及させる恐れが高いと思われます。
新潟県でも一か月ぶりに感染者がおられたようですが、報道によるとやはり海外渡航歴がある方のようです。
米国をはじめとした世界情勢を鑑みると、当面海外との往来は今もなお控えるべき段階であろうと考えられます。
日本では、コロナに感染したとしても、大半は軽症とはいえ、一部では重症化するケースがあることも間違いなく、君子危うきに近寄らないスタンスが重要と言えると思います。


2020年6月22日(月)


 北別府さん 頑張ってください
投稿:長野央希
私は広島東洋カープのファンですが、6/19にようやく2020年度のプロ野球が開幕する予定で、わくわくしてきているところです。
ただし、今年は広島の話題としては、もっと大切なことがあります。
北別府さんが成人T細胞白血病で現在、末梢血幹細胞移植を受けて、闘病中であることです。
私は血液内科診療に携わってきただけに、マスコミで報道されるような血液疾患に対して、注意を払ってはいましたが、元広島の往年のエースの件となれば、より敏感になりました。
ブログを見ていると、息子さんからの末梢血幹細胞を移植して、副作用などで難儀をされているようです。
北別府さんといえば、投手王国と呼ばれた広島の絶対的なエースともいえる方でした。大野、川口、金石など、ストッパーで津田、野手でも高橋慶彦、山崎、長内、重鎮として山本、衣笠などなど今でもわくわくするようなメンツがそろっていたころのエースでした。
それだけ鍛え上げた肉体でも、血液疾患に対する抗がん剤治療や骨髄移植治療はつらいものであることは間違いないと思われます。
自分も、血液疾患での化学療法など行うたびに、治療の副作用や合併症で苦しむ患者さんの姿を診て、時には心苦しい思いもしてきました。そんな中で、病気が寛解、あるいは治癒に至るような患者さんの姿を見て、心から喜び合えたものです。
北別府さんも、長い闘病生活とはなろうと思いますが、一刻も早くお元気になられることを切に願います。
山本浩二さんも闘病生活をされておられるようですが、頑張って克服していただきたいと思います。
二人のためにも、今年はカープが優勝してもらいたいと期待しております。


2020年6月17日(水)


 新型コロナ
投稿:長野央希
昨日、一昨日と都内での新型コロナ陽性者数が50人近くと増加しております。これは、いわゆる「夜の街」で働く人の集団検査の影響もあろうと思われます。
一方で、米国では人種差別への反対デモが全国に広がっており、これによってコロナの感染が再度燃え上がりはしないかと懸念せざるを得ない状況です。また、北京でも再度感染者が増加に転じております。
短期間ながら、コロナ診療に携わったものとして、新型コロナは大半が軽症であるか、無症状であるため、(少なくとも日本では)不必要にパニックになるべきではないと考えます。ただ、高齢者、癌のある方、若くても男性、肥満、糖尿、喫煙(肺気腫)などの条件がそろうと、一定の割合で重症化する印象を受けましたので、決して油断していいものでもないと言えます。
無症状のコロナ陽性者から、このような重症化の危険をはらむ人たちに感染が拡大する可能性を常に考えておく必要があると考えられます。
新潟は幸い大きな流行に見舞われずにここまで来ておりますが、これだけのグローバル社会では、第二波の流行も対岸の火事と受け流すわけにもいきません。我々、医療者は行政とも連携をとって、第二波への対策を練っていく必要があると改めて感じております。

2020年6月16日(火)


 サルコペニア予防
投稿:
当院の近くにあるスポーツセンターも、コロナの影響で、一時休業されておりましたが、ようやくジムも含めて再開されております。拝見しますと、多くの中高年の方々が様々な運動にいそしんでおられます。非常に良いことだと思います。
昨今は、筋肉量の減少からくる身体機能の低下(サルコペニア)が話題になっており、その予防のために適度な運動、適切な食事が極めて重要と言えます。
これまでは医療といえば、病気を治すことに主眼が置かれておりましたが、これからはいかに病気にならないようにするか、あるいは大病になるのを未然に防ぐかという予防の医療がより大切になってくると考えます。
そういうことも、患者さんとともに考えていきたいと思っております。
尚、これからの季節、運動中の脱水、熱中症にはくれぐれもお気を付けください。

2020年6月13日(土)

 ブログを始めました。
投稿:長野央希
急激に真夏のような天候になってきている今日この頃。
全国的にも、ようやく新型コロナ感染が収束に向かいつつあるのかと期待する日々です。幸いに、新潟県は大きな流行のうねりにもまれることなく、本日に至っております。
私は、4月末から5月いっぱい、北埼玉の病院で新型コロナ診療のお手伝いをしてまいりました。関東もひとくくりにはできず、埼玉も大宮や川口など南部と、熊谷などの北部では、大分感染者数も異なっておりました。マスコミ報道で、コロナの恐ろしさ、悲惨さが盛んに取り上げられておりましたが、確かに重症化した場合は厳しい経過をたどりえますが、多くの場合は、軽症であったり、無症候性であったりします。
この疾患に関しては分からないことが多い点や、治療法が確立されていない点で、人々の恐怖が増幅していってしまいました。このこと自体は、ある程度やむを得ないことではありますが、過剰にマスコミが恐怖をあおった感が否めません。
手洗いをする、外出時にはマスクを着用する(自分の感染予防というよりは、自分が感染していた場合に周囲に感染を広げない意味でも)など基本的な注意をしつつ、正確な情報のもとに、適切に怖がりながらも、節度を守って生活を楽しむことが重要と感じました。
我々医療者も、マスコミも、いかに正確な情報を、皆さんにお伝えできるかが大切であり、それこそが本来のインフォームドコンセントのあるべき姿なのかもしれないと、改めて考えさせられております。

毎日とはいかないと思いますが、思うことがあれば、ブログを更新させていきたいと思いますので、今後とも宜しくお願い致します。

2020年6月10日(水)



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