長野医院

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 AI社会
投稿:長野央希
ここ最近のAI(人工知能)の進歩は目覚ましいものがあります。人間が作り出したものとはいえ、間もなく人間の想像を超えていくような代物になっていくのではないかと思われます。うまく使えば、極めて便利でありつつ、場合によってはSF漫画や映画の様に、人間にとっての脅威になるのかもしれません。
多くの職種で、AIによって、雇用としての人間が駆逐されていく可能性もあり得るのではないかと危惧しています。
これは我々医療職でも、御多分に漏れません。明らかに人間よりもAIの方が仕事上のミスは少なくなるでしょう。医師という職業も、高い人件費を払うのであれば、AIに任せた方がコストも安上がりに済むと、経営者が考えていく時代が近く来るのではないかと思われます。
私にとっても、他人ごとではなく、いつAIに仕事を奪われてしまうのだろうという、ある意味恐怖感を抱きつつ過ごしております。
AIよりも人間が勝る点は何かということを考えています。それは、患者さんが医療に何を求めるかということにもつながります。
正確無比で、適切な医療を行うという点では、将来的に人間はAIには比肩できなくなるでしょう。しかし、人間である患者さんからすると、医師との会話や、人間的な心的つながりを求めている場合もあり、その点では、人間はAIに勝ると思われます。もし、そういった面がなければ、残念ながら、人間の医師は駆逐されていく恐れがあります。
患者さんの診察において、患者さんに真に向き合うのではなく、患者さんの各種検査データなどのみを見て、医療を行うのであれば、その診断能力に関しては、人間よりはコンピューターが勝るでしょう。
結局は、人間の医師が生き残れるとすれば、診断能力や治療の能力を磨くことは当然ですが、人とのコミュニケーション能力も、自己の人間性も研鑽していく必要があると思います。今の医療界は、いわゆる学校秀才と言われる人種が多く、人間性や疎通性が未熟な者も少なくありません。そういった人達は、最も最初に不要とされていくことが予想されます。
患者さんに人間として向き合い、人としての温もりを提供できるような医師になり、何とかAI社会を潜り抜けることが出来ればと考えている今日この頃です。


2021年5月18日(火)

 ワクチンに関して
投稿:長野央希
今週月曜から、新型コロナワクチンの予約受付を開始しておりますが、予約や問い合わせの電話で、大変込み合い、非常に電話がつながりにくい状況となっておりまして、誠に申し訳ありません。
ワクチンに関する電話で、他の御用件の方からの御連絡に応じられなくなりつつありますので、発熱などワクチン以外の御用件で、025-260-5921に電話してもつながらないような場合は、025-260-7243に御電話いただければと存じます。

また、現時点で当院のワクチン予約の方が500人超となっており、これから予約をお受けする方のワクチン接種時期が8月や9月頃になってしまう可能性がありますので、その点を御了承いただければ幸いです。

ただし、ワクチンを接種しさえすれば、新型コロナに感染しないと考えておられる方がいらっしゃるようですので、ここで御注意いただきたいと存じますが、ワクチンによって、コロナ感染と無縁となるものではないということを改めて御理解ください。インフルエンザのワクチンと同様、ワクチン接種により、重症化をある程度抑制しうるという効果は期待できますが、絶対的なものではありません。ワクチンの効果もさることながら、やはり最も重要なのは手洗いであります。手洗いをすることは、新型コロナのみではなく、多くの感染症の予防にもつながり、結果的に健康維持に大きく寄与します。その基本的なことを忘れてしまってはいけません。
加えて、コロナワクチンの接種が遅くなることで、強い不安感を抱かれている方も少なくありません。そのお気持ちはわかります。しかし、コロナによって、この一年数か月で亡くなっている方が1万人超と報告されておりますが、そのうちの相当数がコロナ感染が直接の死因ではなく、もともとの持病の悪化や老衰のような状態が死因であることも認識しておく必要がありますし、毎年インフルエンザ感染で亡くなる方も1万人強いらっしゃることも知っておく必要があり、少なくとも日本国内のコロナ感染の脅威は欧米やインド、南米のような状況とは異なることを知っておく必要があります。新型コロナ感染に対して過剰な恐怖感を抱いたり、パニックに陥ることのないようにしていただきたいと思います。


2021年5月14日(金)

 二刀流
投稿:長野央希
大リーグのLAエンザルスの大谷翔平選手の活躍が連日のように報道されています。投手としても、打者としても目覚ましい活躍をしておりますが、加えて走力も超一級であることを証明してくれています。
全く信じられないような逸材としか言いようがありません。
私は、個人的には日本ハム時代から二刀流ということに懐疑的でした。とても肉体的に活躍を継続できるわけがないと考えていました。
しかし、昨年けがをして、手術も経験してからの現在の活躍を見て、驚きを禁じ得ません。そして、何よりも、大リーグ中継で見る大谷選手の楽しそうにしている様を見るにつけ、こちらが嬉しくなるのを感じます。日本球界時代よりも、楽しそうに、溌剌とプレーしていると思います。純粋に野球を楽しんでいる、いわゆる野球大好き少年が、そのまま大人になったような感じと言える気がします。ここまでくると、純粋に彼を応援したくなりますし、本当にけがのないように、一年を戦い抜いてほしいと切に思います。
従来であれば、高校野球までは投手で4番みたいなことは、よく見かけていましたが、流石にプロの世界で、そういう離れ業を演じるような選手は滅多におりませんでした。それを体現している状況を、現在の社会全般に照らして考えてみました。現代社会は、とにかく分業、分業のシステムになっております。専門性が高いので、業務をより細分化していく必要があるためではありましょう。医療業界でも、やはり科は専門に細かく分かれています。一人の医師が専門以外を診ることに、医師自身も患者さんの側も不安を抱いている側面があるのも事実ですが、専門しか見ない医師が増えていけば、結果的に患者さんをトータルで見ることが出来なくなってしまう恐れがあります。そういう意味で、高次医療機関は専門性を高めて、そして開業医などがホームドクターとしてトータルを診るようなすみわけをしていますが、どんなに専門性を高めても、医師として、まずは患者さんという一人の人間そのものへの関心を持っているべきだと思っています。中には専門性が高くなればなるほど、患者さんに対しての興味よりも、その病気や、その検査の異常な部分のみにしか興味を示さない者がおります。それは医業としての本質に沿っているのかという疑問があります。医師一人一人は、それぞれの考え方がありますが、医師たるものとしては、病気よりも、初めに人ありきであるべきだと思います。大谷選手の活躍を見て、あのような多くの面に超一流の活躍を見せることは出来なくても、少しでもそのように他分野にわたって、地道に努力をして、その努力を患者さんの治療に還元できればという思いを強くしています。

2021年5月11日(火)

 業務連絡A
投稿:長野央希
5/24から新型コロナウイルスワクチン接種を開始してまいります。
75歳以上の方が5/24〜
65歳以上74歳以下で基礎疾患のある方が5/28〜
となります。
なお、ワクチンは予約制になりますので、御電話にて予約を取らせていただきます。
アレルギー反応などの副反応の観点から、ワクチン接種後20分〜30分程度は院内でお過ごしいただき、大きな問題がなければ御帰宅という流れとなりますので、よろしくお願いいたします。

2021年5月7日(金)

 業務連絡@
投稿:長野 央希
ゴールデンウィーク中の当院の業務状況をお伝えします。

4/29 休業
5/1 午前中
5/2 休業
5/3 発熱外来のみ
5/4 発熱外来のみ
5/5 休業
尚、5/3,4は諸事情にて17時までになります。

5/6以降は平常通りとなります。

また、新型コロナウイルスワクチンに関しては、ゴールデンウィーク明け頃に詳細が分かりますので、分かり次第、御連絡いたします。

2021年4月23日(金)

 新型コロナの動向
投稿:長野央希
新潟県内、とりわけ新潟市内で新型コロナPCR陽性者数が増加してきております。当院でも発熱外来でのPCR検査希望者数は増加し、それに伴って陽性者数も増えております。陽性者がでれば、当然その人との接触のある方々の検査をすることになり、自ずと無症候でも検査をされて、陽性が判明するケースも出ています。当院を受診されるケースとしては、やはり発熱や咽頭痛などの上気道炎症状が主体で、検査の結果陽性とわかる場合と、感染者と接触はあるものの、ほとんど無症状でも陽性と判明するような場合もあります。もうしばらくは、現状のような動向で推移していく可能性はあろうと考えております。
報道で、神戸の情勢を報じているのを読みましたが、変異株(神戸ではイギリス型)が増加しているとのことで、感染力が強い、若年でも重症化するリスクがあるなども触れられていました。大阪では連日1000人を超えるようなPCR陽性者が出ている状況で、医療崩壊への懸念が高まっています。
現段階で、変異株に関しては、地域差があるのか、地域によっての感染状況の変化はどのようなものなのかを注視していく段階ではあります。また、変異が出たからと言って、必ずしも重症化率が高まっているとも限りませんので、変異によって重症化率がどう変化しているのかもしっかり調べていく必要があります。ですので、変異株の感染割合が上昇しているからと言って、いたずらに不安を増大させたり、パニックになることは控えなくてはなりません。更には、出所の怪しいようなデマや不確かな情報に惑わされないようにすることも重要です。
いずれにしろ、新型コロナの入院治療に携わっている医療関係者、とりわけ近畿地方の医療関係者の御苦労には頭が下がる思いであり、同時に自分がそういった医療に現在参加していないことへの情けなさを感じています。そんな中で、自分が今置かれているポジションで、最善を尽くせるように、引き続き発熱外来とワクチン接種に尽力していきたいと考えております。
尚、現段階では一般の方へのワクチン接種時期などは未定ですが、当院でもワクチン接種を行っていくことが予定されておりますので、詳細が分かり次第、ホームページでお知らせしてまいります。
ただし、ワクチンへの過度の期待は控えねばならないと言えます。新型コロナに限らず、多くの感染症に対し手の感染予防の基本は手洗いにあります。また、マスク着用は自分が感染していた場合の相手への感染予防に、より重要でありますが、こういった日常でできる感染予防こそが重要であることを再認識していただきたいと思います。

2021年4月21日(水)

 雪解け
投稿:長野央希
昨日、魚沼におりました。今年はここ数年では雪の量も多い冬でしたが、三月が暖かかった影響か、雪解けも早い印象があります。とはいえ、日陰などでは残雪がちらほら見受けられます。同時に桜が満開のところもあれば、七分咲きというところもありますが、桜も例年より早いような印象があります。残雪を踏みしめていると、そこに桜の花が舞い落ちてくる様は、胸が痛くなるような切ないような美しさがあります。
それにしても、昨日は魚沼から新潟市に戻ると、尋常ではないような暴風雨で驚きました。本日も依然として風が強く、自転車をこいでも、向かい風だと、思うように前進しないという状態で閉口しました。また、屋外で発熱外来をやっておりますと、強風でフェイスシールドが吹き飛ばされそうになったり、自分自身が突風でよろめいたりと、しんどい時がありますが、冬場の雪や雨が降る中、海風による強風であおられるようなときに比べれば、はるかに良い季節になったものです。
春到来で、気候も良くなり、早く山に登りに行きたいと考えているところですが、私がよく登山をしていた魚沼の山々は、恐らくまだ雪が大分残っているのではないかと思われます。
数年前に、魚沼の権現堂山という、当時住んでいた家からほど近い山にゴールデンウィークに登ったときのことですが、その年はかなりの小雪でしたので、油断して軽装で山に行きました。一般的な登山道ではない、若干マイナーな登山道があるのですが、そちらを登ってみると、二合目にも差し掛かっていないような地点で、既に膝丈くらいの残雪があり、軽装であることを悔やみつつ、登り続けていると、途中から、一面雪に覆われているような状況で、雪に残る足跡がなければ、自分の来た道と、進むべき道が全く分からないようになっていきました。自分のいる位置が分からない、進むべき道が分からないということで、一瞬パニックのような状態に陥ります。
恐らく冬山登山で雪の多いような山に登るということは、こういった状況も承知の上でなければ、恐怖感等の心理状態になって、登山、下山に対する適切な判断力が落ちてしまうのではないかと思わされました。適切な判断が出来なければ、適切な行動もとれず、やみくもな行動で、体力を消耗させ、挙句には低体温で、ますます動きが取れなくなったり、錯乱のような精神状態になってしまったりするのだろうと、身をもって感じさせられました。この権現堂山という山は、どちらかというと低山ではありますが、やはり季節を選ばなければ、あるいは適切な装備を選択していなければ、どのような山でも安全ではなくなるのだと思います。
私は、個人的には八海山も登るのは楽しいのですが、権現堂山と守門岳が好きでした。
最近はクマが多くて、登山を控えていましたが、今年は何とか山登りを楽しめる年になってほしいものです。

2021年4月19日(月)

 自由への渇望
投稿:長野央希
報道を目にする限りではミャンマー情勢は深刻さの度合いが増す一方のように見受けられます。国軍兵士への反抗や殺害などの罪状で、死刑判決を受けている市民も増加の一途をたどっております。このままいけば、軍政府と反政府組織や革命組織などの間に内戦が勃発することもあり得、シリアの内戦のような状態に陥るかもしれません。ロヒンギャの問題も抱え、彼らにイスラームの武装勢力が肩入れするようになれば、いっそう混迷を極めていく可能性もあるかもしれません。
また、かつてのフランス革命の時の様にミャンマー政府軍の兵士が市民に与するようになれば、一気に革命政府が出来上がる可能性もあるかもしれません。要は、どういう展開になるか予断が許さない状況であろうということです。
平和的な解決策が見いだせれば、それに越したことはないでしょうが、現実的には困難な気がします。
軍政府は絶対的な武力を有しておりますので、彼らが政府運営を行えば、当然、少々のことは武力をちらつかせて、文民や一般市民を牛耳るようになるのは必然と言えます。それを防ぐには、結局のところ文民統制が不可欠であると言えます。少なくとも軍属が、軍属のままで政治を動かすことは控えさせる体制が必要なのでしょう。しかし、軍が絶対的な権力を有している社会では、文民統制などのシステムを甘んじて受けるはずがありません。となると、結局は市民革命として、軍政府を倒し、文民統制などのルールを敷いて行く他はないのだと思います。
日本では、太平洋戦争での敗戦で、帝国陸海軍が解体された結果、文民統制が行われるようになりました。残念ながら、現状ではアジアの多くの諸国では、軍の権力を削ごうとすると、外圧か、内部の国民の血が流れるような事態が不可欠と言えるのかもしれません。
真の自由を得るには、ある程度の犠牲は覚悟する必要があります。
日本は、とても自由な社会に見えますが、国政などの状態を見ると、利権や派閥などの問題で、がんじがらめになっているように思えてなりません。
一般的な社会においても、程度の差はあれ、その傾向がないわけではありません。私も長く勤務医をしてきましたが、病院内も、くだらないような派閥争いやどうでもいいような慣習によって、がんじがらめになっているケースがあります。病院のシステムを改善させようにも、現体制で美味しい思いをしている上層部の人などは、その環境の変化は望ましくないので、改革派を煙たがったりします。流石に、武力行使などがないため、身の危険を感じるようなことはあまりないでしょうが、平和で自由なはずの日本でも、改革すべきことが多々あるのに、既得権益を有する(特に上層部)人たちが、その改革案をつぶしてしまいます。
時代時代に合った体制作りが必要なのにも関わらず、変革を拒否すれば、必ずその社会は衰弱していくことは必定と言えます。
真の自由を得るには、今の日本の状態は望ましいのかも考えるべきなのではないかと思ったりしています。

2021年4月16日(金)

 差別と言論の自由
投稿:長野央希
英国のエリザベス女王の夫君であるフィリップ殿下が逝去されました。99歳という年来を考えると、大往生と言えると思いますが、世界的に殿下を惜しむ声明が出されています。
先月はヘンリー王子メーガン夫妻がインタビューで英王室内で差別を受けたというような趣旨のことを語り、特に米国内で英王室への風当たりが強くなっていました。
もっとも、英国の王室は、これまで相当数のスキャンダルを起こしつつも、大過なく今に至っておりますので、今回の件も、年月とともに風化されていく可能性が高い気はします。そもそも、現在の英国王家であるウィンザー家(サックス・コバード・ゴータ家)はヴィクトリア女王が即位するまでの王で、真面目な人はジョージ三世のみだったと言っても過言ではないような状況です。特にジョージ四世は放蕩三昧といっても良いくらいの王でした。ジョージ三世は謹厳実直で、農地の視察にもたびたび足を運び、ファーマー・ジョージと呼ばれるほどの人でした。ただし、しばしば精神に異常をきたし、政務をとれない時期が長く、息子のジョージ四世が摂政として補佐していた中で、ある意味好き放題していたと言えましょう。
王様は真面目であると人気があるかというと、そうでもないようで、チャールズ一世は真面目で、妻や息子を大切にするような人ですが、国民からは不人気で、最終的に清教徒革命で処刑されます。一方で、その息子のチャールズ二世は陽気で、沢山の愛人を持ちつつも、国民受けは良かったようですので、時代時代の雰囲気などもあるのでしょう。
いずれにしろ、英国の王室は、御自身が品行不良であったり、あるいは配偶者が問題のある人だったりという状況で、現王室のメンバー全員に、人間としての模範を求めるのは酷なのかもしれません。
そんな英王室を離脱したヘンリー夫妻の差別発言は様々な波紋を呼び、ジャーナリストもメーガンよりの人もいる一方で、英王室の肩を持つ人もおります。差別やいじめの問題は極めてデリケートな場合もあります。身体的ないじめや差別は分かりやすいのですが、精神的な差別やいじめは、言った言わないの世界にもなりえます。更に、その発言をした側には差別的な感情がなくても、言われた方が差別を受けたと感じれば、差別が成立してしまいます。殊に、米国では建国から常に奴隷制の問題や開拓時代の先住民との衝突などもあり、国の歩みに差別がついて回っていたような国ですので、その反省に立って、極めて差別に対して敏感になっているように思われます。時には、こんな表現まで差別に当たるのかというような規制も入ります。
現代は、いわゆる「弱者」が差別被害を訴えれば、、世論・マスコミや一部の政党が弱者の味方として、差別のあったこと自体やその内容をあまり検証することもなく「強者」を弾劾する風潮が強い時代です。「弱者」が泣き寝入りしなくて済むという意味では素晴らしいと言えますが、一方で、「強者」が冤罪として、社会的に抹殺されかねないような恐ろしさも内包していると思います。痴漢の冤罪も、女性側が仮に被害を受けていなくても、被害を受けたと言い張れば、男性側にとっては大きく不利な状況に陥ります。実際に、私が都内で働いている時に、友人が痴漢の加害者として扱われそうになっていたのを見て、しばらくは恐ろしくて、満員電車に乗るのを控えたことを思い出します。
次元は違う話ではありますが、差別は許されない問題ではあります。とはいえ、いわゆる「弱者」が常に正義で、かつ正しいことを証言しているとは限らないにもかかわらず、弱者が差別を受けたと言えば、自動的に強者が裁かれることには警鐘を鳴らしていく必要がある気がしてなりません。そして、差別用語という観点で、自己規制をしていくうちに、ものをいうことが出来なくなっていくのではないかという懸念もあります。
恐らくいくら法で規制しても、差別は根絶できないでしょう。
最終的にはすべての人間が相手に対して思いやりの心を持ち、相手に対する基本的な配慮を忘れないようにすることの他に差別やいじめをなくす方策はないのだと思います。


2021年4月13日(火)

 銃規制
投稿:長野央希
米国のバイデン大統領が銃規制策を打ち出したという趣旨の報道がありました。これまでの米国で銃の規制はタブーなのではないかと思うくらいに、銃が蔓延している状況でしたから、ある意味画期的な方針転換と言えるのかもしれません。
調べてみると、毎年11000人は銃暴力の犠牲となっており、統計によると、毎年315人に1人が銃撃の犠牲で命を落としている計算になるとのことで、米国の死因の上位に銃による死亡が位置しているのです。(米国の死因の一位は心疾患で6人に1人)CDCでも全米人口動態統計で同様の指摘を指摘をしています。また、米国医師会雑誌で「死亡率で考えると、銃による暴力は死因の中で最も研究されていない」と論ぜられています。
また、米国の人口は全世界の人口の5%にも満たないのに対して、全世界の民間人が所有する銃の50%近くが米国人によって所有されているとの報告もあります。最近はテロによる大量殺戮が大きくニュースになりますが、それ以上にさして話題にならないような銃犯罪がいかに多いかを考える必要があるのだと思います。
これほど深刻な問題にもかかわらず、長年、その領域にはメスが入れられなかったわけですから、社会を巻き込むような極めて重い問題を内包しているのは間違いないでしょう。
これは銃を製造、販売する人たちやライフル協会などの利権も絡んでくるということも大きい問題なのでしょうが、それ以上に米国の独立から現在に至るまでの精神性に関連する面も大きいのではないかと思われます。というのも、米国は英国政府の暴政に憤って、独立戦争を始めて独立を勝ち取っていますから、自分の身を守るためには自衛する権利があるという意識が強いと思われるからです。また、開拓時代を通じて、その意識は高まっていったのではないかと思えます。自衛をする権利はすなわち銃武装する権利につながります。銃を規制するということは、その権利を奪われるという危機感を少なくない米国人が感じてしまう恐れがあります。
多くの米国人が自衛する権利を奪われることに対して、政府に反感を抱いた場合、米国内の分断に拍車がかかる恐れもありえます。
また、バイデン大統領の命にもかかわってくるかもしれません。(何しろ、米国ではケネディやリンカーンをはじめとして、大統領ですら銃による暗殺が起きる社会ですので)そういう意味で、今回の銃規制策を打ち出した政府の勇気には拍手したいと思います。ただし、尋常ではないいばらの道を歩むことにはなるのでしょうが。
銃をはじめとする武器に関しては、世界的にも大きな問題が渦巻いています。アフリカや中東で内戦や紛争が絶えない要因は様々あります。民族的な問題や宗教的な問題、植民地時代の欧米列強の無責任な政策の問題が挙げられますが、それと同じような比重、あるいはそれ以上の比重をもって武器を作り、売る組織の利権がかかわっているということです。武器を売ることで莫大な利益を得ている組織からすれば、紛争地域が平和になってしまうと、武器が売れなくなり、多大な損失を受けることになるという、大きな闇が潜んでいると言えます。
人間が登場して以降、常に戦争や紛争が絶えません。そういう点では人間の本質が戦闘行為にあるのではないかと思えてしまうのですが、銃規制や武器の規制においては、そういった人間の負の部分の本質をあぶりだす必要があるのかもしれません。

2021年4月9日(金)

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