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 ボクシング
投稿:長野 央希
私はボクシングが好きで、テレビ中継があると見てしまうような子供時代を経て、今に至っております。私の子供のころくらいから、ボクシングやプロレスのテレビ中継の頻度が減少していき、ボクシングでは注目度の高いような世界戦くらいしか放映されなくなっていきました。そんな中で、私が高校三年の頃、高校の寮を出て、横浜の港北区にある学生ハイツで生活しておりました時に、深夜に放映されていた竹原慎二さんのミドル級世界戦を見て、大興奮したのを思い出します。世界王者となって、インタビューで自分のことを「広島の粗大ごみ」と発言したのを聞き、涙が止まりませんでした。その時の新聞の切り抜きを貼ったノートを今でも持っております。同じ頃、東洋太平洋王者として活躍していた畑山さんも応援していましたが、その後にスーパーフェザー級の世界王者となり、その時も大変興奮しました。
大学に入ってから、なかなかボクシングのテレビ中継を見る時間が無くなっていっていきましたが、長谷川、内山、山中など長期にわたって王者を防衛した名チャンプが沢山出てきました。どんな素晴らしい王者も年齢には勝てず、最終的に王者陥落の際の痛々しさや辛さは、胸を打ちます。

現在は、井上尚弥選手という不世出な素晴らしい世界チャンプが君臨しておりますし、五輪金メダリストで世界チャンプの村田選手も頑張っております。この年末にゴロフキンとの統一戦が決まりました。非常に強い相手ではありますが、良い試合を期待しております。
今でこそ、日本人の素晴らしい世界王者が沢山輩出されております。一方で、ボクシングの歴史を振り返ると、1952年に28歳で白井義男さんが世界王者を獲ったのが、日本人として初めてでした。当時としては、大分遅咲きの年齢であったのだろうと思います。というのも、白井さんは20代前半を海軍に召集され、かなり過酷な環境で働いていたからであります。その時の肉体的酷使から、戦後、ボクシングの引退も余儀なくされかかっているところで、米国人のDr.アルビン・カーンと出会い、米国的な栄養価の高い食事と科学的トレーニングによって再起し、結果的に世界王者へと駆け上がっていきました。太平洋戦争での敗戦で、自信を失い、打ちひしがれていた日本人に与えた希望の光という意味では、これまでの、どの王者も真似できないような偉大な事業だったろうと思います。当時の栄養状態の芳しくない状況から、白井さんも含めて、成長期に十分な栄養を採れなかったことで、日本人のスポーツ選手の選手生命は軒並み短かったと言えます。
私が子供の頃の野球選手も30前半で引退する人が多かったように記憶しております。栄養状態の問題、トレーニング内容の問題などの要素はありましょうが、確実に現在の日本人スポーツ選手は恵まれた環境で生活できているのは間違いないでしょう。それが選手生命にも、パフォーマンスの向上にもつながっているでしょう。
よく考えてみると、日本は世界的にも、最も飽食な環境にあると言えます。しかし、そんな贅沢な環境にある国の人というのは多くはありません。栄養をしっかり採れるような幼少期を過ごしていれば、世界王者にもなれるような逸材が世界中にはたくさんいるのかもしれないにもかかわらず、日の目を見ることもなく、月日を重ねていってしまうような悲劇がどれほどあるのでしょうか?
スポーツ大国というのは、多くの場合、世界的に見れば、経済的に恵まれた国であることが多いです。経済的に余裕がなければ、スポーツに勤しむこともかなわないからでしょう。もっとも、サッカー等の一部のスポーツの様に発展途上国でも、先進国のスカウトの目に留まれば、素晴らしい環境でトレーニングを行い、世界のトップアスリートになる場合もありますが。
ただ、平和で衣食住に悩まない環境の方が、明らかにスポーツのすそ野が広がるのは間違いありません。
日本での飲食店で、多量の注文をして、食べきれずに、多くの食材が残されているような、目を覆いたくなるような現実を見て、あれこれ考えてしまいました。

2021年11月12日(金)

 総選挙
投稿:長野 央希
先週に行われた衆院総選挙は、結果的には自民、公明の与党の勝利という形で終わりました。選挙直前には菅首相から岸田首相への移行があったりと、バタついている状況で、しばしば自民党への批判も強まっている中、ふたを開けたら、野党連合の大敗というような結果でした。
与党に対して様々な不平、不満は渦巻いております。新型コロナ一つとっても、政府は無為無策の様に見えてしまうような瞬間もありました。ただ、確かに、欧米含めた日本以外の世界と比較すると、はるかに感染者数や死者数が少なく済んでいるのは事実であります。この件は、コロナが終息した段階で、検証されるべきことではあります。日本人の手洗い、マスク着用、入浴するなどの生活習慣が関与しているのか、あるいは人種間での感染のしやすさ、重症化しやすさの差があるのか等に関しては、今後冷静な分析がなされる必要はあります。ただ、現段階までを見ると、日本は他の各国と比べて、甚大な感染爆発が起きなかったことについては、もしかすると、政府の方針に一定の評価をするべきなのかもしれないと思われます。
一方で、東日本大震災当時の与党であった民主党、社民党の対応の拙さや、常に後手後手に回る様を見ていると、非常時に国家運営をゆだねられるような頼もしさが感じられなかったことも、今回の野党敗北の一因かもしれません。また、従来は彼ら野党は、素晴らしい政治理念を掲げてきましたが、与党時代に、その思想を実現できなかったことも、信頼を失わせる結果につながったものと思われます。高尚な理念を掲げることは良いのですが、実現不可能ならば、単なる「綺麗事」にすぎないのです。政治はきれいごとを並べるだけでは駄目なのです。ミャンマーのスーチー女史はそれまで人権運動を展開し、ノーベル賞まで受賞しておりますが、いざ政権運営を担う側になると、ロヒンギャの問題など自己の人権思想を国家経営に十分活かしきれませんでした。軍の問題、人種の問題、既得権益の問題など複雑な国家情勢を加味して、高い政治理念をどう実現できるかこそ、高度な政治的スキルを有していなければ困難なのだと思いますが、それを実行できるのは、成熟した政治家集団でなければ、不可能なのだと思います。勿論、現在の日本の与党が、その期待に応えているとも言えないような気もしますが・・・
また、野党が共産党も含めて連合を組んで選挙戦を戦ったことも、信頼を失うことにつながった可能性が考えられます。信念やポリシーがあればこそ、各政党の存在意義を示せるのだと思いますが、野党がそういった大きな垣根を取り払って、選挙協力をした場合に、その政党としての核となるものが失われてしまっているような感覚を受けてしまい、逆効果になった可能性はあると思います。(自民党と公明党の連合はどうなんだろうという疑問もないわけではありませんが))
いずれにしろ、今回の選挙結果を受けて、当面は自民、公明両党による政権運営が継続されます。引き続きのコロナ対策及び、コロナによって大きなダメージを受けた日本経済の立て直し、対中、米国などの外交政策など、問題は山積しておりますが、どう対処していくのか、注視していく必要があると思います。

2021年11月8日(月)

 京王線事件
投稿:長野 央希
最近、電車内で若者による無差別殺傷事件が度々報じられます。
その若者達の言い分は、非常に似通っており、「死刑になるために」や逮捕されて、無期懲役になるように」などのもので、そういった身勝手な理由で犯行に及んでおります。
昨日は20時頃に京王線内で、刃物による刺傷、放火事件が起きております。
私は、都内で働いております時に、足掛け4年を京王線沿線に住んでおりました。二年間を上北沢、二年間を蘆花公園で暮らしていましたし、電車が停止した国領というところは、私がよく行っていた蔦屋がありましたので、けっこうなじみのある場所で、他人ごとではないようなショックを受けました。昨日の犯人は、バットマンに出てくる悪役のジョーカーに扮した姿で、凶行に及んでおります。ちょうど昨日はハロウィンということもあり、通常なら妙な格好で目立つ状況でも、特に違和感なく車内に溶け込めてしまったということも凶行を犯しやすくさせた一面はあろうと思われます。個人的に、キリスト教徒でもなければ、ハロウィンを祝うという習慣もないため、仮装してお祭り騒ぎするという気には毛頭なりませんし、なかなか大騒ぎしている若者たちの気持ちに感情移入は出来ないのですが(正直クリスマスも、キリスト教徒ではないので、祝う気になりませんが)、そういっていると、若者文化を理解しない頭の硬いおっさん扱いされかねないので、我関せずに見守っている次第です。ただ、今後、こういった世間を震撼させるような事件が起きてしまった以上、来年以降も、ハロウィンでの仮装を利用した、この手の犯行が繰り返される危険があることを肝に銘じておく必要があろうと思います。特に、劇場型の犯罪によって世間の注目を集めたいというような自己中心的な犯罪者にとって、仮装すること自体が、自己陶酔に至るナルシスティックな欲望を満たしやすくさせる恐れもあるように思えてなりません。仮装を取り締まることは出来ないですので、仮装している中で犯罪を企図している人物をどう選別できるか、何らかの対策を講じる必要はあろうと思います。
また、東海道新幹線内での無差別殺傷事件でも、小田急線の無差別傷害事件でも、密閉されたような空間で、誰もが思うように防御出来ない状態であることが浮き彫りになっています。このように閉ざされた、逃げ場が限定されてしまっているような空間で、もし刃物をもって暴れているような人物に直面した時に、どうやって身を守るか、各人が常々考えている必要のある時代なのかもしれんせん。悲しい話ではありますが、もはや公共の交通機関を利用するからには、自分や家族の身をどう守るか対策を練らねばならないのかもしれません。現実的に、飛行機の搭乗手続きのような、厳重なチェックが電車や新幹線ではできるはずもなく、鉄道会社や警察組織だけで、犯罪を抑止するには限界があります。となれば、自分の身は自分で守らざるを得ないという結論になり、同時に子供や高齢者などのいわゆる弱者が犠牲にならないように社会全体でどう対処するのが良いのかを検討していくことが求められていると思います。自分なりに考えているのは、登山の際のクマよけスプレーを犯人に噴霧するというものではあります。唐辛子成分入りのスプレーを顔に欠ければ、しばらくは犯人の動きを止めることは出来るかもしれません。(きっとスプレーメーカーは人に向けて噴霧しないように言うとは思いますが)

2021年11月1日(月)

 大口病院事件
投稿:長野央希
2016年に起きた神奈川県の大口病院での看護師による3名の入院患者殺害事件に関する裁判が行われております。検察側は死刑を求刑しており、被告も「死んで償いたい」と述べており、犯した罪状からも極刑は免れないのではないかと思われます。
一方で、弁護側は統合失調症による心神耗弱を理由に減刑を求めておりますが、社会的に衝撃を与えるような事件では、このように精神疾患を理由に減刑を図ろうとする構図がしばしば見受けられます。正直な感想として、毎度、こういった弁護側の姿勢に違和感を感じてしまいます。そもそも、今回の被告は統合失調症という診断が確かなのかもよく分かりません。また、仮に統合失調症であったとしても、弁護側の言い分から、一般の人達が統合失調症患者は危険な存在なのではというような偏見を植え付けてしまう恐れがあることを、弁護側はよく理解する必要があると思います。一人の被告を救わんがために、100人に1人はいると言われるような統合失調症の患者さんの多くを社会的な偏見にさらすという結果に導いてしまうことがとても残念に思えてなりません。
また、私も色々な病因で勤務してまいりましたので、多くの看護師と一緒に働いてきました。沢山の人がいれば、それぞれのキャラクターも千差万別であります。当然、一部には人間的に問題がある人もおります。それでも、多くの人は一生懸命に患者さんのためを考えて、働いている人が大勢を占めていると思います。医療職が経験不足で、実力がまだ十分備わっていないために、結果的に患者さんのためにならないような事態を招くこともないわけではありませんし、病棟の忙しさのために、ミスが生じてしまうことも、現実問題にはあります。ミスをしない人間はいないのですが、そういった完ぺきではない人間(完璧な人間などいないと思います)が働いている中で、いかにミスを最小限にとどめ、患者さんが不利益を被らないようにできるかを考えていく必要があります。
今回の大口病院に関して言えば、報道の情報が確かであれば、かなり院内の職場環境が芳しくなかったように思われます。
職場環境が悪ければ、一人一人の職員も気持ちよくは働けず、自分たちの実力も十分には発揮できないと言えます。むしろ、場合によってはミスが多発してしまう可能性も高まってしまうかもしれません。
加えて、適材適所での人材登用が出来ていれば、なおよい結果につながるとは思います。
一度にいくつもの情報や指示を受けて、そこから優先順位を導き出して、迅速に対応できる人は、急性期病棟や救急病棟向きと言えます。しかし、そういった人が、ある患者さんとじっくり腹を割ってじっくり話し合うことが得意とは限らず、そういった一人の人と時間をかけて面談できる能力がある人は慢性期病棟向けであったりするのだろうと思います。そういった性格は個々人で当然異なりますので、自分の得手不得手に見合った職場で働けていれば、その個人にとっても、組織にとっても、最終的には患者さんにとっても有益であると言えます。現在の日本で、そこまで人員も多くない状況では、なかなか適材適所で人員を配置することは難しいとは言えますが、人事に関与している人というのは、組織の根幹を預かるという意味でも極めて重要であると思います。

2021年10月25日(月)

 優勝争い真っ只中のプロ野球
投稿:長野 央希
今年もペナントレースが最終盤になっております。ここ何年もBクラスの常連で、最近は最下位争いを演じてきたヤクルトにマジックが点灯しております。阪神との優勝争いがどうなっていくかというところですが、やはり高津監督の手腕なのでしょうか。敵ながら、大したものだと評価しないわけにはいきません。また、パリーグもオリックス、ロッテによる優勝争いが続いております。両チームとも、やはりBクラスにいることの多いチームでしたが、中嶋、井口両監督という若い指導者がチームを再建していると言えましょう。
一方で、我が広島は、交流戦の惨憺たる成績もあり、Bクラスで苦しんできました。ここにきて6連勝したりと調子を上げております。流石に、巨人がこれから全敗でもしない限りは、クライマックスシリーズへの進出は現実的には厳しいでしょうが、何とか4位は死守してもらいたいと思います。
少なくとも、この終盤戦の戦いは、必ず来期につながると思いますので、特に若手は頑張ってもらいたいものです。実際に、林、宇草、小園らがスタメンを張るようになってから、明らかにチームのムードも良く、勢いが出ている感じがします。坂倉も素晴らしい働きをしておりますし、キャッチャーの中村はポジション的には、まだレギュラーになるには時間はかかるかもしれませんが、着実に成長しているようですから、若手選手達の成長はとても楽しみです。
今年に関しては、交流戦の頃に、主力選手が何人も新型コロナに感染したりして、戦線離脱したりという不運もありましたし、オリンピックがあったりということで変則的なシーズンであったこともありました。しかし、このオリンピックでは森下、栗林の若い両投手が躍動、大活躍してくれました。鈴木も不調にあえぎつつも、大事な米国戦では活躍して見せましたし、菊池も守備での貢献は大きかったと言えます。広島から選出された選手たちが活躍して、かつ金メダルを獲得したことは大変喜ばしく思えました。
対して、ペナントレースでは、なかなか投打がかみ合わなかったりということで、ファンからすればもどかしく、フラストレーションがたまる日々でありました。
来期以降は、広島のお家芸ともいえるような足を使った野球を展開してもらいたいと思います。打撃はどうしても好不調の波が出ます。しかし、走塁に関しては、怪我でもない限りは、打撃以上の確実性が期待できると思いますし、相手への大きなプレッシャーにもなり、相手投手が打者への集中力を欠く結果、打者にとっても有利になる可能性があると思われます。とにかく、今のカープは足を使わなさすぎるように思えてなりません。
また、もう少し左腕投手が活躍してほしいという気持ちがあります。ここにきて床田、高橋が成績を出しつつありますが、まだまだです。広島では、それこそ江夏、大野、川口を筆頭に左のエースや、チームの大黒柱がおりました。三連覇していた時では、ジョンソンがとても頼もしかったのは記憶に新しいところです。左腕投手の台頭を望んでいたところ、今年のドラフトでは即戦力でも、じっくり育成することを目指した形でも、サウスポー投手を多くとってくれました。何とか来年、頑張ってほしいと強く願います。
来年こそはリーグ優勝と、日本一をお願いします。

また、三連覇した時に頑張ってくれた今村、中村両投手をはじめ、6名が広島を契約更新しないことが決まりました。過去に活躍していても、ここ数年で実績がなければ、やめさせられてしまうのは、やはりプロの定めではありますが、何か寂しいものも感じます。どうか、今後の人生が幸の多いものとなるように願います。そして、これまで有難うございました。お疲れ様でした。


2021年10月15日(金)

 中国のこと(6)
投稿:長野央希
現在行われているウイグルでの惨状に関しては、中国政府は全面的に否定し、人権侵害として非難する欧米諸国に対しては内政干渉であると非難しております。ウイグルは敬虔なイスラームの信徒でありますが、本来であれば、これほどイスラーム教徒が弾圧を受けていれば、その他のイスラーム信者がジハードとして立ち上がるべきであるにもかかわらず、そうはなっていません。やはり中国の国力や武力を考えて、なかなかイスラームの側も手をこまねいているほかないというのが実情なのかもしれません。
では、中国の軍事力とはどうなのかを冷静に分析する必要があります。
確かに人民解放軍の兵士の数は膨大であり、最新鋭の兵器の購入、開発にも力を入れています。海軍においては新しく空母を建造していたりと、米国への対抗意識を鮮明に打ち出しているように見受けられます。ですが、現代の情勢で、はたして巨大な軍艦や空母を建設することがどれほど意義のあることなのかを考える必要があります。太平洋戦争の段階で、既に巨大軍艦の存在意義自体に疑問が投げかけられておりました。実際に有力な航空戦力や潜水艦によって当時世界最高の軍艦であった大和も武蔵も、その他の多くの艦船が撃沈されました。大和、武蔵に至っては、ほとんど戦果らしいものを挙げることがありませんでした。(個人的には戦艦金剛が最も好きです)
現在に至っても、有力な航空戦力、潜水戦力の前では、それを防備するような対策がなければ、巨大艦船は単なる大きな標的でしかなくなってしまいます。全裸の人間が、スズメバチの群れの前では無力なようなものです。
ドローンは、そもそも軍艦に比べれば、著しく経費のかからない武力と言えますが、場合によっては、こういったドローンの進歩によって、軍艦が沈められる可能性もあり得るのではないかと思えます。
更に、人民解放軍の海軍は、実戦経験があるのかどうかという疑問があります。下手をすれば、中国の海軍の実戦は、日清戦争までさかのぼるのではないかと思えるほどです。実戦経験の裏付けのない兵力は、いざというときには、まともに機能しない可能性もはらんでいるのではないかと思えます。
要は、軍備を拡張している中国のそれは、張子の虎である可能性もあり得るのではないでしょうか?
勿論、戦争を推奨する気は毛頭ありませんが、少なくとも、中国が軍事をちらつかせて、周囲を威圧する場合に、冷静かつ毅然とした態度を取り続けるべきなのだと思います。自国だけでは国防に不安があるというのであれば、東南アジアやオセアニア諸国、インドや米国と連携をして、中国の包囲網を敷けばいいのです。太平洋戦争当時、日本は周囲を包囲され、ドイツ、イタリアという遠方でとても助け合えないような国と同盟を組むという愚策を行い敗戦に至りました。どんなに調子のよい大国と言えども、自国のみで世界と渡り合うことは不可能なのです。
それと同時に、中国という国は、プライド高い国でありますので、彼らにとっては自分のメンツをつぶされることが最も不快かつ恐れていることと言えましょう。ですので、彼らが行っていることが正しくないのであれば、彼らの自己愛的なメンツをつぶすことが、外交的に意義深いと思えます。彼らにとってはメンツこそが、信頼を得る要因と考えていますので、メンツがつぶれれば、周囲からの信頼も失います。結果的に一帯一路政策にも支障が出てくるでしょう。
今、我々が平和的に行えることは、中国に対しては、自分が世界の中心ではないこと、所詮は自国は世界の中の一つの国でしかないことを理解させて、肥大する一方の自己愛に歯止めをかけることなのだと思います。

2021年10月8日(金)

 中国のこと(5)
投稿:長野央希
中国を中心とした世界作りを目指し、中華思想の結実として、現在進行形で進められているのが「一帯一路」となろうかと思います。中央アジアやアフリカ、ヨーロッパまで、中国の傘下に入りかねないような情勢でしたが、ここにきて、その雲行きが怪しくなりつつあります。
一つは、ウイグルなどで行われている人権侵害、民族弾圧に対して、欧州諸国が強い不快感を示しだしていることと、更には、一帯一路に組み込まれていた諸国も、このシステムが、最終的には中国に利益を吸い上げられるだけの結果になりそうだと予感しだしていることが、要因と考えます。
また、中国が軍艦や空母の建造も含めて、軍備の拡張を図っていることも、周辺各国に強い警戒感を抱かせ、それが反中国の動きにつながっている面もありましょう。
中国共産党が思想統制を強めている現状、何故か中国人民は、あまり抵抗感を抱いていないかのように見えます。これは、現段階では中国自身が経済的に好調を維持しており、(貧富の差が激しいとはいえ)それなりの人民が経済的好調の恩恵を受けているためでありましょう。しかし、これがかつての日本のバブル崩壊の時のようなことが起きて、長い不況の時代を迎えた場合どうなるでしょうか?それまで中国政府に従順に従っていた勢力も、反旗を翻す可能性があります。これまでの中国の歴史を見ていると、王朝の末期は民衆の反乱と宗教が結びついて大反乱に発展する現象が多々見られました。こうした宗教の潜在的な力を、共産党は恐れているのだろうと思います。結果的にウイグルの様に敬虔なイスラームに強い恐れと不快感を抱き、尋常ではないような人権蹂躙を行っていると思われます。
上海を制圧し、今後は台湾にも触手を伸ばそうかというところで、彼らの欲望はとどまることを知らないかのように見えます。そして、今の状況を俯瞰すると、習近平という人は形骸化した共産党を尻目に、まずはロシアのプーチン氏の様に長期にわたって権力のトップに居座ることを狙いつつ、将来的には習王朝を築くという野望があるのではないかとすら思えてきます。
今こそ、中国の人民は、今後は上海の様に、自分たちが言論を封じ込められ、一部の権力中枢の人たちの利益のために収奪されていくのではないかという懸念を抱くべきだと思うのです。現実的には難しいかもしれませんが、ウイグルやチベットや多くの少数民族が同時多発的に中国政府に対して自己の自由を主張する運動を起こし、それに加えて自由を求める人民の運動が同期するようだと、そのうねりは相当なことになると思われます。
中国という国は現状、大変好調なように見えて、その実、極めて不安定な情勢を内包しているように見えてなりません。そういった不安の裏返しが、今の中国の余裕のない言論や思想の統制につながっているように思われます。

2021年10月6日(水)

 中国のこと(4)
投稿:長野央希
日中戦争と、その後の蒋介石との戦いに勝利して、1950年に中国共産党により中華人民共和国が建国されました。その後、文化大革命という国家としても民衆としても苦難の時期を過ぎて、改革開放路線にかじを切り、資本主義の導入を進め、目覚ましい経済成長を遂げて、現在に至っているような状態です。こうして、今の中国の状態を見ると、中国共産党というものの、いわゆるマルクス・レーニン主義による共産党的な面とはかけ離れている状態になっています。そもそも、共産主義において、何故資本主義が導入されうるのかという一つをとっても、多大な矛盾をはらんでおります。また、基本的に共産主義からすれば、私有財産というものを否定するはずのところが、土地も含めて、公然と私有財産的に運用されているような状態です。
私は個人的に、マルクス・レーニン主義は理念や理想は高邁であると思いますが、人間の本質に照らし合わせると、その理念を実践、実現すること自体が極めて難しいと考えております。正直なところ、実現自体が不可能ではないかとすら思っています。結果的にソ連は崩壊し、中国も改革開放路線などという共産主義から逸脱した経済政策をとるに至っているのではないかと考えます。
しかし、中国では共産党支配を継続させるために、方便として中国的な共産主義という言い回しをしているように見受けられます。
現在の中国を突き動かしているのは共産主義ではないけれども、共産党が国民の思想を統制して、共産党幹部などの既得権益が甘い汁を吸い続けられるようにというシステムであると思われます。
その過程で、共産党に異を唱えたり、不満分子たり得るような勢力を叩くために上海の言論を弾圧したり、ウイグルやチベットへのとんでもないような思想統制を行い続けているのだと思います。ウイグルに関して言えば、もはやホロコーストにでもなりかねないような異常な弾圧を行っています。
そして、こうした思想統制を見ていると、中国共産党そのものが、新興宗教の団体の様にすら見えてきます。(共産主義は基本的には無神教ですが)
国家主席という教祖が、自分の著書をバイブルのようにして、共産党の教えにより国家運営を行っているという風に見えます。そのため、国家主席が代わるたびに、中国共産党の思想も変化します。今は、正に習近平イズムを浸透させているところなのでしょう。この、習近平がトップとなって以降、中国が益々居丈高になっています。ここで、浮上してくるのが、古代からの中華思想とつながってくるように思われるのです。

2021年10月5日(火)

 中国のこと(3)
投稿:長野央希
古代中国では、秦の始皇帝が統一王朝を創始したのち、項羽と劉邦による楚漢戦争を経て、漢帝国による断続的とはいえ、長い支配のもと、後漢末期に、日本でも人気の高い三国志の時代となっていきます。
この、楚漢戦争と三国志時代の戦乱や飢饉、疫病で、いわゆる古代から存在してきた漢民族と呼ばれる民族は大幅に減少してしまったと言われています。その後、五胡十六国の時代で、北方騎馬民族が建国、滅亡を繰り返して後、隋と唐が東一王朝を築きました。実はこの隋も唐もいずれも北方の騎馬民族により建国された王朝です。世界に冠たる大唐帝国も元も清も、いずれも漢民族が打ち立てた帝国ではないのです。しかし、古代に醸成された「中華思想」は、モンゴル民族や女真族などによって、連綿と継承されていきます。中国文明の驚くべきところは、民族云々が誰にせよ、その文化、思想が何故か、中国を支配する側に引き継がれていくことにあります。むしろ、支配層となる民族が中国文明に取り込まれて行っているようにすら見えます。通常であれば、支配するものが、支配されるものの文化を下に見て、自分たちの文化や思想を押し付けるようなケースが多いのにも関わらずです。
これこそが中国4000年の歴史と言えるものなのかもしれません。
勿論、中華思想自体が、鼻持ちならない考え方であるのは間違いありません。簡単に言えば、中華こそ世界の中心で、その周囲の者は皆蛮族であり、中華に従うべきであるというのが、基本的な考え方になります。ただ、その蛮族が従う際に、中華の王の徳によって、自ら従うようになるのが、王道であり、中華の王が武力で蛮族を制圧して、従わせることが覇道となります。中国では古来より、覇道よりは王道を目標とはしてきましたが、ほぼ王道が達成できた時代があったとは思われません。これらの王道や覇道といった考え方自体が、儒教的であり、漢の時代以降、清朝が滅びるまで、中国の王朝は儒教をもって民衆を統治してきました。儒教の教え自体が、年長者や身分の上位の物を敬うことを良しとしておりますので、統治する側からすれば、極めて便利な教えであったと言えます。日本でも江戸時代は、儒学による統治を目指していました。個人的に、儒教的教えは、良い面も多々あるとはいえ、儀礼を過度に重んじたりと、非常に合理的でない面が目に付くように思われます。いわゆる近代以降の社会の発展においては、儒教はしばしば弊害となりえるように見受けられます。
儒教によって縛られた清朝では社会の発展が滞るようになり、柔軟な思考ができにくい環境となっていったことから、最終的に欧州列強、最終的には大日本帝国にも植民地として食い荒らされていったという側面もあろうと思います。こうした歴史の流れから、新たにマルクス・レーニン主義が台頭していき、遂には中国共産党による中華人民共和国の建国へとつながっていきます。

2021年10月4日(月)

 中国のこと(2)
投稿:長野央希
私は歴史が好きで、中国の古代史にも強い興味を持っています。
漫画の『キングダム』は中国の戦国時代末期から秦の時代を描いているもののようですが、実は自分は読んだことがありません。横山光輝や宮城谷昌光の作品を読みふけっている時期がありましたが、恐らくそれが古代中国史に関心を持つきっかけとなったものと思われます。
私がとりわけ興味があるのが、春秋から戦国時代中盤頃までと言えます。戦国時代末期は、秦の攻勢により他の国々が青息吐息の状況となっている時代で、何か切ない感じを持ってしまうのです。勿論、その時代にも魅力的な人物や、関心を抱く人物もたくさんいます。特に楽毅という傑物は、中国史をっとしても、最も好きな人物の一人です。弱小国であった燕の昭王に仕え、その忠義深さに心を打たれるとともに、武将、政治家としての能力の高さも含めて、男が惚れる漢という感じに思われます。
また、秦の昭王にも色々な欠点もありながら、何か心惹かれるものがあります。彼の時代に、宰相であった范雎や武将の白起などの活躍によって、一気に秦が強大化していきました。昭王は何となく、常に王としての孤独を感じながら、范雎には友情のようなものを感じていたのではないかという、何か人間らしい悲哀に対して愛着を感じたりしてしまいます。
戦国末期も面白いのではありますが、やはり多くの国々が群雄割拠していた春秋、戦国時代中盤までの方が、活き活きとした面白さがあるように思われるのです。そして、そういった時代に諸子百家のような様々な学問が生まれていきました。その中で、特に興味を抱くのが法家、兵家と老荘思想です。
兵家の代表が孫子の兵法になるかもしれませんが、今読んでも孫子の兵法の普遍的なすごみには感嘆を禁じ得ません。かのナポレオンも愛読していたと言われるくらいで、どの時代にも人間の本質が変わらない以上、孫子の説は通用するものと思われます。孫武が生きていたのが紀元前500年代であり、孫びんが生きていたのが紀元前300年代ということからも2000数百年前に、これほどの発想ができる人がいたこと自体が、中国の奥行を感じるのであります。特に有名なフレーズで「己を知り、彼を知れば、百戦すれども危うからず」がありますが、全くその通りでありながら、これを実践することが極めて難しいと言わざるを得ません。個人的にも、そもそも自分自身を知ることだけでも実に難しいのを実感します。日清、日露戦争で日本が勝てたのは、一つはこの自己と敵とを極力理解しようと努めたからとも言えましょう。
一方で、太平洋戦争では、この思想が徹底されていなかったように思えます。まず、自分の国力をしっかり分析できず、かつそれまで敬意や畏怖の念を抱いてきた欧米に対しても、相手を侮るような姿勢が垣間見え、日本は孫子の兵法からすれば、あまりにもその逆を行くような下策を取りすぎてきた感が否めません。
古代中国の思想は今に至るまで、古びることなく通用するものが少なくないと言えます。(個人的には儒教的な思想はあまり好きではありませんが)そういう面では、私は中国に敬意を表したいと思います。
とは言え、古代と今の中国では、騎馬民族の侵略などによって民族的にもだいぶ変化しているのが現実であるのです。

2021年10月1日(金)

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