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 中国のこと(4)
投稿:長野央希
日中戦争と、その後の蒋介石との戦いに勝利して、1950年に中国共産党により中華人民共和国が建国されました。その後、文化大革命という国家としても民衆としても苦難の時期を過ぎて、改革開放路線にかじを切り、資本主義の導入を進め、目覚ましい経済成長を遂げて、現在に至っているような状態です。こうして、今の中国の状態を見ると、中国共産党というものの、いわゆるマルクス・レーニン主義による共産党的な面とはかけ離れている状態になっています。そもそも、共産主義において、何故資本主義が導入されうるのかという一つをとっても、多大な矛盾をはらんでおります。また、基本的に共産主義からすれば、私有財産というものを否定するはずのところが、土地も含めて、公然と私有財産的に運用されているような状態です。
私は個人的に、マルクス・レーニン主義は理念や理想は高邁であると思いますが、人間の本質に照らし合わせると、その理念を実践、実現すること自体が極めて難しいと考えております。正直なところ、実現自体が不可能ではないかとすら思っています。結果的にソ連は崩壊し、中国も改革開放路線などという共産主義から逸脱した経済政策をとるに至っているのではないかと考えます。
しかし、中国では共産党支配を継続させるために、方便として中国的な共産主義という言い回しをしているように見受けられます。
現在の中国を突き動かしているのは共産主義ではないけれども、共産党が国民の思想を統制して、共産党幹部などの既得権益が甘い汁を吸い続けられるようにというシステムであると思われます。
その過程で、共産党に異を唱えたり、不満分子たり得るような勢力を叩くために上海の言論を弾圧したり、ウイグルやチベットへのとんでもないような思想統制を行い続けているのだと思います。ウイグルに関して言えば、もはやホロコーストにでもなりかねないような異常な弾圧を行っています。
そして、こうした思想統制を見ていると、中国共産党そのものが、新興宗教の団体の様にすら見えてきます。(共産主義は基本的には無神教ですが)
国家主席という教祖が、自分の著書をバイブルのようにして、共産党の教えにより国家運営を行っているという風に見えます。そのため、国家主席が代わるたびに、中国共産党の思想も変化します。今は、正に習近平イズムを浸透させているところなのでしょう。この、習近平がトップとなって以降、中国が益々居丈高になっています。ここで、浮上してくるのが、古代からの中華思想とつながってくるように思われるのです。

2021年10月5日(火)

 中国のこと(3)
投稿:長野央希
古代中国では、秦の始皇帝が統一王朝を創始したのち、項羽と劉邦による楚漢戦争を経て、漢帝国による断続的とはいえ、長い支配のもと、後漢末期に、日本でも人気の高い三国志の時代となっていきます。
この、楚漢戦争と三国志時代の戦乱や飢饉、疫病で、いわゆる古代から存在してきた漢民族と呼ばれる民族は大幅に減少してしまったと言われています。その後、五胡十六国の時代で、北方騎馬民族が建国、滅亡を繰り返して後、隋と唐が東一王朝を築きました。実はこの隋も唐もいずれも北方の騎馬民族により建国された王朝です。世界に冠たる大唐帝国も元も清も、いずれも漢民族が打ち立てた帝国ではないのです。しかし、古代に醸成された「中華思想」は、モンゴル民族や女真族などによって、連綿と継承されていきます。中国文明の驚くべきところは、民族云々が誰にせよ、その文化、思想が何故か、中国を支配する側に引き継がれていくことにあります。むしろ、支配層となる民族が中国文明に取り込まれて行っているようにすら見えます。通常であれば、支配するものが、支配されるものの文化を下に見て、自分たちの文化や思想を押し付けるようなケースが多いのにも関わらずです。
これこそが中国4000年の歴史と言えるものなのかもしれません。
勿論、中華思想自体が、鼻持ちならない考え方であるのは間違いありません。簡単に言えば、中華こそ世界の中心で、その周囲の者は皆蛮族であり、中華に従うべきであるというのが、基本的な考え方になります。ただ、その蛮族が従う際に、中華の王の徳によって、自ら従うようになるのが、王道であり、中華の王が武力で蛮族を制圧して、従わせることが覇道となります。中国では古来より、覇道よりは王道を目標とはしてきましたが、ほぼ王道が達成できた時代があったとは思われません。これらの王道や覇道といった考え方自体が、儒教的であり、漢の時代以降、清朝が滅びるまで、中国の王朝は儒教をもって民衆を統治してきました。儒教の教え自体が、年長者や身分の上位の物を敬うことを良しとしておりますので、統治する側からすれば、極めて便利な教えであったと言えます。日本でも江戸時代は、儒学による統治を目指していました。個人的に、儒教的教えは、良い面も多々あるとはいえ、儀礼を過度に重んじたりと、非常に合理的でない面が目に付くように思われます。いわゆる近代以降の社会の発展においては、儒教はしばしば弊害となりえるように見受けられます。
儒教によって縛られた清朝では社会の発展が滞るようになり、柔軟な思考ができにくい環境となっていったことから、最終的に欧州列強、最終的には大日本帝国にも植民地として食い荒らされていったという側面もあろうと思います。こうした歴史の流れから、新たにマルクス・レーニン主義が台頭していき、遂には中国共産党による中華人民共和国の建国へとつながっていきます。

2021年10月4日(月)

 中国のこと(2)
投稿:長野央希
私は歴史が好きで、中国の古代史にも強い興味を持っています。
漫画の『キングダム』は中国の戦国時代末期から秦の時代を描いているもののようですが、実は自分は読んだことがありません。横山光輝や宮城谷昌光の作品を読みふけっている時期がありましたが、恐らくそれが古代中国史に関心を持つきっかけとなったものと思われます。
私がとりわけ興味があるのが、春秋から戦国時代中盤頃までと言えます。戦国時代末期は、秦の攻勢により他の国々が青息吐息の状況となっている時代で、何か切ない感じを持ってしまうのです。勿論、その時代にも魅力的な人物や、関心を抱く人物もたくさんいます。特に楽毅という傑物は、中国史をっとしても、最も好きな人物の一人です。弱小国であった燕の昭王に仕え、その忠義深さに心を打たれるとともに、武将、政治家としての能力の高さも含めて、男が惚れる漢という感じに思われます。
また、秦の昭王にも色々な欠点もありながら、何か心惹かれるものがあります。彼の時代に、宰相であった范雎や武将の白起などの活躍によって、一気に秦が強大化していきました。昭王は何となく、常に王としての孤独を感じながら、范雎には友情のようなものを感じていたのではないかという、何か人間らしい悲哀に対して愛着を感じたりしてしまいます。
戦国末期も面白いのではありますが、やはり多くの国々が群雄割拠していた春秋、戦国時代中盤までの方が、活き活きとした面白さがあるように思われるのです。そして、そういった時代に諸子百家のような様々な学問が生まれていきました。その中で、特に興味を抱くのが法家、兵家と老荘思想です。
兵家の代表が孫子の兵法になるかもしれませんが、今読んでも孫子の兵法の普遍的なすごみには感嘆を禁じ得ません。かのナポレオンも愛読していたと言われるくらいで、どの時代にも人間の本質が変わらない以上、孫子の説は通用するものと思われます。孫武が生きていたのが紀元前500年代であり、孫びんが生きていたのが紀元前300年代ということからも2000数百年前に、これほどの発想ができる人がいたこと自体が、中国の奥行を感じるのであります。特に有名なフレーズで「己を知り、彼を知れば、百戦すれども危うからず」がありますが、全くその通りでありながら、これを実践することが極めて難しいと言わざるを得ません。個人的にも、そもそも自分自身を知ることだけでも実に難しいのを実感します。日清、日露戦争で日本が勝てたのは、一つはこの自己と敵とを極力理解しようと努めたからとも言えましょう。
一方で、太平洋戦争では、この思想が徹底されていなかったように思えます。まず、自分の国力をしっかり分析できず、かつそれまで敬意や畏怖の念を抱いてきた欧米に対しても、相手を侮るような姿勢が垣間見え、日本は孫子の兵法からすれば、あまりにもその逆を行くような下策を取りすぎてきた感が否めません。
古代中国の思想は今に至るまで、古びることなく通用するものが少なくないと言えます。(個人的には儒教的な思想はあまり好きではありませんが)そういう面では、私は中国に敬意を表したいと思います。
とは言え、古代と今の中国では、騎馬民族の侵略などによって民族的にもだいぶ変化しているのが現実であるのです。

2021年10月1日(金)

 中国のこと(1)
投稿:長野央希
先日、パスツール研究所の研究チーム等が「ラオス生息のコウモリからSARS-VOV-2と95%以上一致するコロナウイルス3種を発見した」と発表しております。世界中で物議をかもしている新型コロナウイルスの起源探しに対して、ある程度の結論的な発見なのかもしれません。米国のトランプ元大統領がしきりに武漢由来と発言していたことに対する否定的な事実になるかもしれません。とはいえ、世界中の陰謀論者からすれば、この発表自体も陰謀の一環と言い張り、その事実を受け入れないかもしれません。結局は陰謀論者の方々からすれば、自分の都合の良い事実をつなぎ合わせて、社会を解釈する以外にはゴールには達しないことになりますので、ある意味、ご苦労な話ではあります。
それはそれとして、中国の様に広大な土地では、未開発の地域も相当残っているでしょう。そういった、人があまり足を踏み入れない土地が開発されるようになると、あるいは森林の伐採で、コウモリや未知の昆虫などの生物が直接人間と接触するようになると、これまで知られていないような、新たな感染症を惹起するようになる可能性が高いと言えます。
アフリカでの森林伐採などの環境破壊が、エボラ出血熱の誘因となっていることが疑われているのと同様の事象が、中国や東南アジア、インドで起きることは想像に難くないと言えます。
従って、今回のコロナ騒動において、武漢の研究所が意図的にウイルスを作り出していないとしても、今後も中国発の様々な感染症が世界を席巻する可能性は少なくないと言えましょう。
これだけ広大な中国大陸で、太平洋戦争前、戦中と、帝国陸軍は各地において、部隊を展開させていました。戦線拡大で、東南アジアやインドまでもが、活動範囲となっていたことを考えると、それだけでも無謀な話であったのではないかとすら思えてしまいます。
この中国という極めて長い歴史を持ち、独特の文化を育んできた隣国を理解することは、今後の日本のあり方を考えるうえでも、非常に重要であると思います。中国的な発想は、時に日本人には理解しがたいことがあり、怒りを覚えることも少なくありません。そういったことを鑑みると、中国的な物の考え方をある程度理解することで、中国の政治、外交、軍事の今後を展望することも可能となり、それを踏まえて、日本のスタンスを決めていきやすくなると思われるのです。

2021年9月27日(月)

 真理の大海
投稿:長野央希
最近、訪問診療をするお宅が増えてきております。
私は、元々、散策・散歩をするのが好きで、時間があると、訪問診療のお家まで自転車か、近くまで車で行き、そこからぶらぶら歩いていることがあります。
現在、その一軒のお宅のそばに、黒松の群生する散歩道があり、そこを歩くのが楽しみになっております。黒松が群生する中を、道が十ているのですが、その木と木の間には、沢山のクモが巣を張っています。
私が、羽虫であったら、間違いなく、これらのクモの餌食になっているのであろうと考えたりしながら、ぶらぶらしています。そして、クモを間近でのぞき見ると、例えば遠目では黒と黄色に見えているクモが、ちかくで、しかも光の反射を受けると、黒く見えている長い脚は実は青かったのだということが分かりました。これは、以前、私が好きだったアンティークの懐中時計の針が黒田と思っていたら、実は光沢のある濃紺であったと知って感動した時を思い起こさせられました。
しかし、よく考えると、私の生きている世界は、こんなことだらけなのかもしれません。自分が表面だけ見て、知ったような気になっていても、実は何も知らないのではないかと思えてきます。そもそも、医療の世界でも、今の知識が、後世には間違っているという判断をされる可能性もありえます。
今の世の中では、色々な情報ソースで、おびただしい量の情報を入手できますが、それは本当に真実なのでしょうか?そういった情報で得た知識で、まるで何もかも悟ったかのようになっている人も少なくないように見受けられます。そして、すべてを知っていると錯覚した人が、自分の意見を主張し、自分と異なる意見の人を貶めたり、攻撃したりする。
我々は、もっと謙虚になる必要があります。自然を観察するだけでも、自分の見ていることが実は本当の表面的なことでしかないのだと認識すれば、「自分は本当は何も知らないのかもしれない」という気持ちになり、そこから謙虚さが生まれてきます。
アイザック・ニュートンは晩年に「私は海辺で遊んでいる少年のようである。時折、普通の物よりも滑らかな小石や可愛い貝殻を見つけて夢中になっている。真理の大海はすべてが未知のまま目の前に広がっているのに」と述べています。あれほどの業績を成し遂げたニュートンでさえ、自分の人生を振り返って、こんなように思うのです。ましてや凡人は、どうなのでしょう?今、偉そうに持論を語る人たちが多数いますが、彼らは海辺で小石や貝も拾わないで、「この浜辺には、これこれの貝が生息しているんだよ」とうんちくだけ垂れて、知ったようになっているに過ぎないのかもしれません。実際は、新種の貝が埋まっているかもしれないのにです。
私たちは、真理を見抜くだけの力量がないかもしれません。それだけに、この世の中の深淵な真理に近づくために、もっと体を使って、汗を流す必要があるのだと思います。今の日本人は、何となく、頭でっかちで、行動をしない人が増えてしまっているように思われてなりません。
バカっぽく見られても、もっとがむしゃらに行動を起こすことが望まれている時代なのではないかと思っています。


2021年9月19日(日)

 千代田区タクシー事故を踏まえて
投稿:長野央希
9/11に千代田区でタクシーによる5人の死傷事故が起きました。
時々、タクシーの運転手が体調不良となり、事故が発生してしまうことがあり、ニュースでもインパクトを持って報道されます。
今回は、運転手の方が、くも膜下出血を起こした後に、大事故が発生してしまったという経緯のようです。
こうした事故が起きて、毎回思うのは、他人ごとではないということです。
私自身が事故の犠牲者になるかもしれないと同時に、自分が運転中にクモ膜下出血や大きな脳梗塞、出血を起こした場合に、同じような大事故を発生させてしまいかねないという意味でも、全く他人ごとではありません。
くも膜下出血も原因は様々ですが、基礎にモヤモヤ病や、未破裂の動脈瘤があるかもしれません。普段、あまり症状がないと、検査もしておらず、本人もそういった基礎疾患に気づいていない場合もあります。
また、放置している、もしくはコントロール不良の高血圧や糖尿病、脂質異常症や高尿酸血症などがあれば、動脈硬化が進行し、結果的に出血性脳梗塞のような病態を引き起こす場合もあります。
あるいは、本人も記憶にないような頭部打撲から、慢性硬膜下血腫を起こしていたりすると、それが原因で意識がもうろうとしたり、反応が鈍くなったりということもあります。
脳の病気に限らず、心筋梗塞や大動脈解離などの心疾患でも、急な体調不良から、自動車運転に支障をきたし、事故につながるということも十分にあり得ます。また、薬物の影響でも運転に支障をきたす可能性をはらんでいます。最近は、安易に抗不安薬や睡眠薬が処方されるケースも増え、そういった薬剤で、強い眠気から居眠り運転につながる可能性もあります。これは一部の風邪薬や鎮咳薬、抗アレルギー薬でも起きえることです。
自分が被害者にも加害者にもなりかねないということを、皆が理解する必要があります。
そして、今回の様にくも膜下出血や心筋梗塞という者は、ほとんど不可抗力のように突発的に起きてしまうことが多いです。このタクシーに乗車していたお客さんも、ドライバーの異変に気付かなかったという話ですから、少なくともお客さんが乗車した段階では、おかしな様子は見られなかったのでしょう。
私も、毎週、魚沼まで運転していっておりますので、長距離の運転中や、高速道路での運転中に有事があれば、とんでもない大事故に発展してしまうということを肝に銘じておく必要があると痛感しております。
そして、普段やれることと言えば、上記のような突発的な脳や心臓疾患を予防すべく、血圧や血糖、コレステロール、尿酸値などを良い状態に保ち、動脈硬化の進行を予防しつつ、定期的な健康診断で問題がないかを確認していくことくらいではありますが、こういったことに気を配ル他は無いと思います。
ついでに言えば、肥満₊糖尿病は新型コロナに感染した場合に、重症化するリスクが高いという事実を踏まえ、生活習慣を見直して、身を正していく必要があると思い、努力していく必要があると感じています。

2021年9月14日(火)

 コロナの話題
投稿:長野央希
依然として、新型コロナの話題が、報道の多くを占めている状況が続いております。新潟市も昨日43人の感染者が出たということで、飲食店の時短営業や、図書館などの公立の公共機関の営業停止が延長されるのか等の検討がされるのでしょう。
最近は新型コロナウイルスもη株やμ株などの変異が出たということで、マスコミも注意喚起を呼びかけております。
更に、WHOはそれまでワクチンの接種率が70%超えることで、感染を抑え込めるという考えでありましたが、Δ株の出現以降、その考えの軌道修正を行わざるを得ないという趣旨の発言をしております。
しかし、このようにワクチンでコロナを抑え込めるというのは、あまりに楽観的過ぎたとも言えます。
そもそも、インフルエンザウイルスは、毎年ワクチンを打たなければならないのは、ウイルスが変異を繰り返し続けるために、前年のワクチンは有効性が落ちてしまうからです。基本的に、多くのウイルスは生き残り戦略として、常に変異を繰り返しています。コロナウイルスも然りです。半年前のウイルスと、現在のウイルスが変異しているのは当然のことなのです。ですから、半年以上前に完成したワクチンが、現在のウイルスにとって有効性が落ちていても不思議ではないと言えます。ただ、現在出回っているワクチンもΔ株に対しても有効であるということは幸いなことと言えましょう。
しかし、ワクチンを過信してはならないのは、感染を完全に予防できるわけではないという事実があるからでもあります。ワクチンは仮に感染した場合にも重症化を抑制してくれるという程度の感覚でいる必要があると思います。それはインフルエンザワクチンにおいても同様であります。従って、ワクチンを打ったからと言って、公共の場ではマスク着用が必要ですし、手洗いを励行する必要があるのです。
そして、新型コロナの感染流行は、断続的ながら、しばらく続く可能性が高いであろうことを前提に、これからの生活や国家経営を考える必要があると思います。
20世紀初頭に起きたスペイン風邪のパンデミックは終息に二年かかりました。ですから、新型コロナも終息するのにも最低二年はかかるであろうと思われます。更に、現代はグローバリズムのために世界が狭くなった分、これまでの歴史上、最も世界中の往来が活発化していることから、ウイルスの変異なども起きやすくなっているのかもしれません。そのために、感染の終息には、二年を超えてしまう可能性もあり得ます。そう言う場合も想定していく必要があります。3年、4年と、今の様に飲食業界などに多大な犠牲を敷き続けることは現実的には不可能です。今の日本人が全員「欲しがりません。勝つまでは」の精神を実行できるのであれば別ですが。もはやwithコロナを前提にして、経済活動の再開の方策を練る必要があります。そのための医療資源の地域格差の是正、充実も図らねばならないでしょうし、場合によっては、カクテル抗体治療センターのような臨時の病院を設置することも考える必要がありましょう。
コロナありきで、政策・方針を決定していくことも覚悟する必要があるのではないかと考えます。

2021年9月11日(土)

 アフガニスタン
投稿:長野央希
米軍のアフガニスタン撤退に始まり、タリバンのアフガニスタン全土掌握で、にわかにアフガニスタン情勢が不穏なものとなっております。JAICAの職員の方も、死刑宣告のような脅迫文を受けて、大変身の危険を感じておられるような記事も見られました。
人道危機という意味でも、極めて憂慮すべき事態ではあると思います。
ただ、基本的にはイスラーム教徒の思想からすれば、イスラーム信者以外は、本来存在してはいけないので、非イスラーム教徒からの支援や指導というものは受け入れられないという発想になるのだと思います。

ムハンマドがイスラーム教の布教を始めて、およそ1400年経っていますが、当初は周囲の人たちをことごとくイスラームに改宗させつつ、その支配地域を拡大させていきましたが、徐々にユダヤ教やキリスト教信者を、いちいちイスラームに改宗させるような事業を行えば、尋常ではない労力と時間を費やされることを痛感させられていきます。元々、アラブ人は商業民ですから、そこは柔軟に対応し、人頭税を払いさえすれば、異教徒もその身の安全を保障するという政策をとるようになっていきました。この政策は、イスラームがキリスト教国やユダヤ教徒に対して優位な時代は、うまくいっていましたが、欧米諸国が産業革命を経て、帝国主義のもと、世界中で植民地活動を活発化させるに伴い、上記の構図は崩れていきました。白人諸国は、往々にして、自分たちの宗教観や価値観を、植民地や保護国に押し付けていきました。結果的にオスマントルコやイラン、サウジなどのイスラームの国々の人たちのプライドをずたずたにしていったのです。そういった歴史的な経緯からも、イスラーム教国の人々が、欧米諸国に対して、強い不信感を抱くのも無理からぬものではあるのです。
以上の様に、我々、非イスラームの先進諸国が欧米的な思想を押し付ければ押し付けるほど、タリバンは拒否的になる恐れがあります。
どうしたら、タリバンとうまく交渉し、いわゆる現代の一般的な価値観とイスラーム原理主義的な思想の歩み寄りを図るかを考える必要があると思います。その際に、参考にすべきなのは、ロシアや中国の対タリバン外交です。
中国では、新疆ウイグル自治区はイスラーム教徒が多く住む地域で、ここにタリバンなどのテロリストが介入してくれば、ウイグルの独立紛争に始まり、場合によっては、中国全土の暴動に発展しかねないというような危機感があると思われます。また、アフガニスタンは中国の一帯一路政策にとっては要衝の地であるため、いちはやくタリバンを認めることで、ウイグルの運動家の支援をしないような約束を取り付けていまず。ロシアでも、チェチェンの活動家の問題もあり、タリバンとの交渉を行っています。
こうしてみると、タリバン政権は、必ずしも宗教的な熱情のみで動かされるわけではないことに気付かされます。中国、ロシアの様に、タリバンにとって魅力的な条件を示すことで、交渉を行うことが出来ると言えます。従って、今、世界が心配しているようなタリバンによる非イスラームやイスラーム教徒でも女性や子供への人道危機を防ぐために、タリバン政権にとって、何か魅力的な条件を駆け引きの材料として、交渉を進めていく必要があるのだと思います。こちらの与える何らかの支援(多くは経済支援)の見返りに、人権侵害を行わないようにする等。
恐らく、従来の様に、欧米的な思想の押し付けでは、早晩、その交渉は破綻してしまうでしょう。

私は、昔からアフガニスタンやシリアで働いてみたいというのが夢でした。アフガニスタンで長く活動し、最期はテロの凶弾に倒れ、志半ばに亡くなられた中村先生の著書を読んだりして、その思いを強めたこともありました。実際のところ、今の私が、自分の責務や義務を放擲できるのであれば、アフガンに行きたいというのが正直な気持ちです。恐らくは生きては帰れないだろうと思われますが、アフガニスタンやシリアの様に混沌とした地域で、ある意味一からの国造りに参加できるかもしれないというのは、とても興味があります。明治維新に参加した日本人に通じるような部分があるように思えます。命を懸けるに値するような事業だと思えるのです。

2021年9月6日(月)

 コロナ禍
投稿:長野央希
依然として、新型コロナ感染が下火になってくる様子が見えない状況で、本日から16日まで新潟市内の飲食店が時短営業となります。
私が、よく利用している西総合スポーツセンターも本日より16日までは休館となってしまいます。
こうした措置の効果は二週間程度先になってようやく表れてくると言えます。
ただ、東京含めた首都圏は、度々緊急事態宣言を発令しているものの、感染を抑え込めていないという状況を鑑みると、蔓延防止策というもの自体は、あくまで人の動きを抑えて、人的交流を減らすことで、感染の接触を減らすという意味合いでしかないと言えます。結局は、時間稼ぎの政策と言えます。この時間稼ぎをしている間に、いかにワクチン接種率を増やすか、あるいは治療薬を開発できるかが勝負のカギと思われます。
治療薬としては、現段階で最も期待できるものが、カクテル抗体療法です。ただし、抗体療法というものは、高額であり、すべての感染者に対して行えるようなものではないと思われます。また、この治療は感染の初期の段階で行わないと、効果をなさないものです。ですので、いかに重症化しそうな人に、この治療を行えるかというのがポイントと言えます。
とは言え、この重症化しそうという予測が非常に難しいのが現実です。

実際に、コロナ診療にあたってきた経験からすると、60代で糖尿病があるという重症化リスクを有する人も、感染しても結果的には、ほとんど無症状であったりということもありました。一方で30代で基礎疾患がない方でも中等症以上の肺炎を起こしていることもあり、重症化の予測においては、従来言われている重症化リスク因子のみでは推し量れない可能性があるように思えます。
ただ、これまでは、新型コロナウイルスに対する純粋な抗ウイルス治療がなかった分(レムデシビルは、本来エボラウイルスへの抗ウイルス治療)、治療のツールが増えていくことは歓迎すべきことと言えます。
そして、抗体療法に比べれば安価で、多くの人が恩恵を被れるものが、ワクチンになります。9/1になり、新潟市でもようやく12歳以上の全年齢層のワクチン予約を受け付けられるようになりました。
しかし、ワクチンの供給量不足によって、当面はクリニックレベルでは週に48人まで(二回目を含めて)という縛りがあります。そのため、多くの御電話での御相談がありますが、思うように迅速に予約を受けられないことに、非常な歯がゆさを感じずにはいられない状況なのです。
前述のとおり、緊急事態宣言にしろ、蔓延防止策にしろ人の流れを止めるという時間稼ぎでしかなく、その間にいかにワクチン接種者を増やせるかが重要なのですが、思うようにはワクチンが進められないことに、無力感を覚えます。
更には、これから冬に向かいインフルエンザの季節になってくるため、本来であれば、インフルエンザワクチンの前にはコロナワクチンを済ましておきたかったところが、計画通りには進めないということになります。

勿論、ワクチンは絶対的なものではありません。ワクチン接種でも、感染するときはしますが、それでも感染率や重症化率は確実に低下させられると言えます。当院での発熱外来での陽性者を見ていると、現在は10〜50代が9割を占めています。やはり、ワクチンの効果を日々実感しています。
ただ、ワクチンを過信せず、手洗い・外出時のマスク着用などの日々の感染予防が極めて重要ですので、そういった積み重ねを大切にしていただきたいと思います。

2021年9月3日(金)

 業務連絡
投稿:長野央希
12歳以上のワクチン接種予約を行っておりますが、ワクチンの供給量が少ないのに対して、予約が殺到しており、9/2の時点でご予約いただいて、ワクチン接種時期が12月上旬となってしまいます。
その旨、御理解いただきますようお願い申し上げます。

今後、ワクチン供給量が増加してきた場合は、時期が早まる可能性はありますが、現段階では、供給量が増えてくるかは、不透明です。
集団接種などをご利用いただく方が速い可能性がありますので、そういったことも御検討いただければと存じます。

2021年9月2日(木)

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