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 東日本大震災(8)
投稿:長野央希
二回にわたり、救護班に参加できたことは、今でも自分にとって貴重な経験でした。私は、他に誇るべきものは何一つないと言っても過言ではありませんが、この時に救護班に参加できたことは私の唯一の誇りです。
ここで、その時の経験を踏まえて、自分の考えや思いを書いておきたいと思います。
(1)当時の私の上司の一人は、震災の時に「自分は痔だからウォッシュレットのないところにはいけないな」と笑いながら話していましたが、平時では十分笑い話にはなります。やはり関東の人からすれば、他人事のような面があるのだと痛感しました。しかし、日本は災害大国ともいえるほど、どの地域も何らかの天災による被害を受けかねないことを肝に銘ずる必要があります。いつ何時、自分が災害の当事者になるかもしれないという思いを持つべきと思います。
(2)災害の種類によって、その被害内容は大きく変わることを理解しなければなりません。阪神大震災の時は地面の陥没、家屋の倒壊や火災により、被害が拡大しましたが、東日本大震災では津波による水害が主たるものでした。前者では整形外科的な外傷が多かったはずですが、後者では、そこまで重症の外傷は多くはなく、むしろ持病の増悪や溺水や海水の誤嚥による誤嚥性肺炎などへの対応が重要であったと思われます。
従って、災害の種類に応じた、救護班の医療準備も少しづつかえていく必要があろうと思われます。
(3)災害の予防策を講じて、それに応じた前準備をしっかりしておくことが重要であることを再認識しました。
石巻日赤では、大地震が来ることを想定して、対策を練っていた模様です。もし、それがなければ、恐らく震災直後の医療体制は崩壊していただろうと思われます。それでも、対策を講じた、想定以上の水害であったことも事実でしょう。
まず、対策を講じる場合に、自分のいる地域が水辺なのか、山間なのか、住宅が密集している地域なのか等で、起きうる被害を想定する必要があります。更に、想定する場合は、最悪の事態を考える必要があるのだと思います。昔から、日本人は最悪の事態を考えて対策を練ろうとすることの下手な民族ではありますので、自分たちの国民性も考えていく必要があると思います。
(4)避難所では、たいていの場合上下水道とも機能が麻痺している場合が多く、その環境は感染症の温床になりやすいということを認識しておく必要があります。3月の時点では、万が一避難所でインフルエンザが出れば、一気に蔓延してしまうという懸念がありました。一方で、5月の時点では、大分日中の気温が高くなっていましたから、食中毒など腸炎を起こしやすくなるのではないかという不安がありました。もし、現段階で、何か天災があれば、新型コロナの対策をどうするかという問題を考える必要があります。
(5)避難所での生活は非常にストレスフルな環境です。ほぼプライバシーもない状態です。震災直後は連帯感のような感情があって、支えあえていたものが、時間の経過とともに、共同体内での不協和音も出てきてしまいかねません。また、震災で負ったトラウマなども尋常なものではないと言えます。そういった意味でも、心のケアは極めて重要であると言えます。
(6)デマや風評被害への注意う。災害などの社会的混乱が生じるような状況下では、その被害に対する怒りのはけ口として、スケープゴートにされるような人たちが出てきます。また、完全に不確かな情報でも、まことしやかに情報が共有され、デマが真実のような様相を呈してしまう場面もあります。昨今ではSNSなどでデマであろうと各種の情報が拡散されてしまいやすい時代でもあり、混乱した状況下でも、いかに冷静に情報を取捨選択する重要性を認識する必要があります。

「天災は忘れたころにやってくる」という寺田寅彦の格言があります。
東北の震災以降も、千葉や九州など各地で様々な天災被害に見舞われました。平時にこそ、こういった不幸な教訓を再度考えるべきなのだと思います。


2021年3月13日(土)

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