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 起立性調節障害
投稿:長野央希
先日、新型コロナの感染流行以降で、起立性調節障害(OD)の学童が増えているのではというような内容の記事を読みました。
起立性調節障害(以下OD)というものは、起立時にめまいや動機、失神などが起きる自律神経系の病気と言えます。思春期に多く、これによって不登校の原因となることもしばしばあり、ある統計では不登校の2/3がODに悩まされているともいわれております。
通常であれば、起立時には交感神経が働くことで、下肢の血管を収縮させ、心臓への循環血液量を増やすように作用し、結果的に失神などの問題が生じないようになっているものの、交感神経系の働きが低下してしまうと、血圧低下、脳血流の低下が引き起こされてしまいます。
原因としては、発育に伴う自律神経系の乱れ、脱水、運動不足、精神的ストレスが挙げられますし、半数で遺伝傾向があるともいわれています。
勿論、これによって死ぬような病気ではないですし、朝に上記のような症状が出やすいものの、昼以降は、状態が改善するという特徴もあり、その結果で、これまでは怠け病のような見方をされることも少なくなかったと言えます。しかし、ODに悩む方は、学校に行きたいのに、それが出来ないという深刻な苦悩の中にありながら、なかなかよき理解者が得られなかったというのが現実です。
更に、薬物治療で改善することは期待しにくいという特徴もあります。従って、治療法は、日常生活の習慣やリズムの改善が最も大切となります。頭を下げて、ゆっくり起立する、長時間の起立を避ける、筋力とぃかを防ぐために一日30分程度の散歩をする、脱水にならないように一日2L程度の水分と10g程度の塩分を摂取するようにする、早めに就寝するなどのことを心がける必要があります。また、精神的なストレスがあることが明らかならば、そのストレスを軽減できるようにコントロールすることも重要になってきます。
確かに、コロナ流行で、緊急事態宣言が出れば、自宅にこもらなければならなくなり、友人との交流も制限される上に、運動不足にもなります。子供はタフとは言え、このコロナ下という先行きが見通せない現状で、大人が不安を抱けば、当然、その不安が子供にも伝わりますから、大人以上に恐怖や不安を感じることにもなります。子供は学校などに行けば、子供たちなりの社会があります。大人が介入できないような社会、大人に介入してほしくない社会があります。そんな社会生活が送れないことで、更に精神的ストレスが強まることもうなずけます。結果的にODが起きやすくなっているのかもしれません。
一朝一夕で、現状の社会不安が解消はされませんが、ODというものへの理解を持つことが、大切であり、それによって子供との絆も深まるのではないかと思います。

2021年2月26日(金)

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