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 アジアの民主主義
投稿:長野央希
ミャンマーでは国軍によるクーデターで騒ぎになっております。選挙に不正があったというのが言い分のようですが、どこぞの超大国でも同じような論法で、騒乱が起きたのも記憶に新しいのですが。ミャンマーではデモも起きて、軍政府は孤立を深めているという話ですが、今後の推移を注視していく必要があろうと思われます。スーチー氏も拘束されているとのことですが、彼女の父親であるアウンサン将軍は、ビルマ建国の父ともいわれ、日本にも滞在していたことがあるようなわが国とも縁の深い人物でありますので、我々日本人は、もう少しミャンマーという国に関心を持ってもいいのではないでしょうか?
そんな情勢下で、米国などの各国は軍政府への非難を強めておりますが、中国政府としては、軍への非難は避けております。というのも、中国は、ミャンマーを通過する形で、本国に石油のパイプラインを通しておりますので、ミャンマー政府の機嫌を損ねたくないという思いがあるのでしょう。同時に、常にインドとは緊張状態にあるため、その界隈の国とは良好な関係でいたいという思惑もあろうと思われます。更には、南シナ海周辺各国と軋轢があるため、ミャンマーとは同盟関係を維持したいのだろうと思われます。そんなわけもあり、当面はミャンマーを舞台に米国と中国の駆け引きは続いていくことが想定されます。日本も、こういうときに仲介者となれれば、交際的な株も上がるのではないかと思えるのですが、外交というものはそんなに簡単なものではないのかもしれません。
このようにミャンマーやタイではしばしば国内情勢が不安定になりがちです。曲がりなりにも両国とも民主主義国家を標榜しているものの、民主主義というものが極めて成熟していない状況であるからこそ、軍による活動が国政を牛耳りやすいと言えるのかもしれません。
しかし、そもそも、アジア各国で、民主主義が成熟して、しっかり機能している国というものが存在しているのでしょうか?アジアで最も民主的な国であると言えるのは日本と韓国、シンガポールなどかもしれませんが、韓国では、大統領が代わるたびに前大統領が色々な罪で断罪されることが繰り返されており、中世のジェノバのような感じで、あまり成熟した民主主義国家のようには思われないというのが正直なところです。では、日本はどうかというと、日本も民主主義が未熟と言えます。そもそも、政治家諸氏をみてみると、先祖代々の政治家一家というものが少なくないのと同時に、タレント議員も少なくない状況です。民主的な選挙で、なぜ、家族が代々政治家になるのでしょうか?結局、選挙には資金と地盤が必要で、そのためには政治家一家の方が有利であるからでしょう。世襲制になってしまっており、まるでかつての貴族制の様相を呈しております。そのほか選挙に勝つとすれば、知名度を上げることが近道になりましょうから、タレントで知名度が高いと有権者も票を入れてしまうと言い結果から、タレント議員も増加していく寸法です。親が政治家だから、子供も政治力があるのか、あるいは有名人が政治的なスキルを有しているのか、甚だ疑問なのにもかかわらず、票が集まってしまう。これは成熟した民主主義でしょうか?しっかりした政策を打ち出している地味な政治家志望の一般人こそが、政治の世界で増加してこそ、民主主義も成長していくと思います。結局のところ、アジア各国では、自分たちが血を流して、民主主義を勝ち取っているところが少ないことが現状の要因となっている気がしてなりません。日本も、欧米から(ある意味)押し付けられるような形で民主主義を導入しております。本来、民主主義というものは国民が自分たちの血と汗で勝ち取るべきものなのだと思います。フランス革命やアメリカ独立戦争こそが、国民の犠牲の上で民主主義を勝ち得た事象と言えましょう。それでも、現在の両国を見ると、民主主義の危うさや限界が垣間見える気がします。我々、アジアにはアジアにあった民主主義があると思います。欧米からの受け売りではなく、自分たちに会う政体を見つけることこそが国内情勢の安定につながるのだろうと思う今日この頃です。

2021年2月10日(水)

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