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 インフルエンザ回想
投稿:長野央希
私は、これまで二回インフルエンザになっております。最初は小学生の頃だったかと思いますが、とにかく学校の教室で歩いていても、まるでふわふわしていて、歩いているのに、スキップしているような感覚だったことが思い出されます。二回目は受験生の頃で、センター試験終了直後に罹患しました。恐ろしい寒気が襲ってきて、そうこうしているうちに39℃の高熱が出て、検査の結果インフルエンザ陽性と判明しました。タミフル内服をしましたが、内服開始後2日ばかりは、とにかくだるくて、受験勉強しないといけないのにと思いつつも、床に臥せっておりました。食欲もなく、三食ともガリガリ君を食べて過ごしていたことが強く記憶に残っています。その頃、家では猫を飼っておりました。基本的に家の中では一番年少の私に対しては、猫はなめてかかっているため、遊びたく成れば、私にちょっかいを出してくるのですが、インフルエンザで具合が悪い時には、猫も遠慮してくれていました。更に、私は寝相が悪いため、猫は基本的に寝ている自分には近づかないのを原則としておりましたが、その時は、まるで私を気遣うように自分の足のところで一緒に寝てくれていました。猫は何か不思議な感覚を持っているのだと思いますが、弱り目な時に、そばにいてもらえることがどれだけ嬉しいか実感した出来事でもあります。
インフルエンザの診療で、最も印象深い症例は、埼玉で働いている時のものでした。ゴールデンウィーク明けくらいの、土曜の11時頃に発熱と頭痛で救急外来を受診された50代の女性がおられました。救急当番であったため、私が診察にあたり、インフルエンザ抗原検査をしたところ、B型インフルエンザの結果でした。通常であれば、タミフルなどの抗ウイルス薬を処方して御帰宅いただくのが常ではありますが、頭痛が強いため、頭部CTを撮ったりなどの諸検査をし、あまり大きな異常は確認できないものの、ひとまず入院をしていただきました。土曜ですので、病院としても午前で基本的な業務は終了となり、人手は減ります。ですので、午後に色々な検査は困難になるのですが、流石に、今回は頭痛も強いので、髄液検査は不可欠であろうと考え、御家族をお呼びして検査の説明をしようと待っている間に、みるみる内に患者さんの意識状態が悪化していってしまったので、家族の来院を待たずに、髄液検査を行いました。その結果、細菌性髄膜炎(その後の培養結果で肺炎球菌性髄膜炎と判明)の合併を認めたため、経鼻胃管から抗インフルエンザ薬の注入(当時はまだ、点滴の抗インフルエンザ薬はなかった)を行いつつ、抗生剤の点滴治療を開始しました。幸いにも同日の夜には意識は戻り、その後軽度の聴覚過敏が後遺症として残る以外は、重篤な後遺症が残りませんでした。
インフルエンザで頭痛が生じるのは当然ながら、細菌性髄膜炎などの別の病態も合併している可能性を常に念頭に入れる必要があることを改めて思い知らされた出来事でした。
今年は新型コロナの兼ね合いで、多くの人が感染予防のために手洗いやマスク着用を心がけておりますので、例年よりはインフルエンザの患者さんが減るのではないかという推測もありますが、どうなるかは分かりません。
いずれにしろ、インフルエンザであろうが、新型コロナであろうが、しっかりした手洗いを行い、外出時のマスク着用を心がけるなどの日常の注意を怠らないようにして、感染予防に努めていくようにお願いします。

2020年11月21日(土)

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