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 早まらないでください
投稿:長野央希
昨日、女優の竹内結子さんが亡くなられたというニュースを見て、大変驚かされました。自殺の疑いが強いということでした。あまり、テレビを見ない自分でも知っている女優さんで、しかもとても自殺しそうに見えない方でしたので、驚きもなお一層のものとなった感があります。
今年は芸能人の方々がコロナで亡くなられるケースもさることながら、自殺される方も多いように思われます。コロナによる先行き不安も一つの原因なのかもしれません。竹内さんの場合、1月に出産されたばかりで、産後うつのような状況であったのかは分かりませんが、芸能界の方々の重圧や精神的なストレスは我々一般人には計り知れないものがあるのかもしれません。
しかし、私のような医師という職業も、芸能界ほどではないとはいえ、常に大きなプレッシャーにさらされていると言えます。
時には、患者さんの命のために、自分の命と引き換えにしなければならないような悲壮感にとらわれることもあります。連日連夜病院から呼び出され、不眠が続き、極度の疲労状態になることも時にはあります。そういったときに、「楽になりたい」「深酒して、雪の中で寝ていたら…」などと考えてしまうことも一度や二度ではありませんでした。そんな時に生きなければと考えたのは、自分が助けられなかった患者さんに対して、申し訳が立たないと思えたからでもあります。例えば、自分より若くて、子供も小さいような白血病の男性の死を見てきました。生きたいのに生きれない人がいます。そういった人に礼を尽くすためにも、自分は生きれる間は生きなければと考えなおして、踏みとどまってきました。
 今年は、新型コロナという通常では経験しないような閉塞感の中で、思いがけず失職してしまったり、苦境に立たされている方々もおられると思います。そういった状況下で、うつ病を患う方もいらっしゃるでしょう。
自殺を考える方も様々な状況が考えられます。
うつ病からくる希死念慮であれば、鬱に対する適切な治療が行われることで、改善していく可能性が高いです。
実際の色々な悩みで生きていけないという思いに駆られている方であれば、どうか一呼吸おいてください。私も経験がありますが、辛い時や著しく疲労している時には視野が極度に狭まり、死ぬことにしか思いが至らなくなるかもしれません。そんな時に、すぐに行為に移すのではなく、一旦呼吸を置いてみてください。自分の辛い思いを外に発散するだけでも、心のおもりが少し軽くなります。家族や友人に連絡してみてください。また、今では自殺の相談に乗ってくれる窓口もあります。他人と話すことで、一人でしょい込んでいる重荷を軽くしてください。苦境にある時に「人間一人一人の命はかけがえのないもの」などという言葉はきれいごとにしか聞こえないかもしれませんが、せめて深呼吸して、「生きているのもまんざら悪いことばかりでもない」と思っていただければと思います。そして、もう少し余裕が出てきたら、自分の死で必ず悲しむ人たち(もしかしたら動植物も)がいることを考えてみてください。
どうか、自分を好きでいてあげてください。お願いします。

2020年9月28日(月)

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