|
熊本の震災 |
|
投稿:長野 央希 |
|
一昨日熊本を襲った震度7の大地震により、政府より、現段階において28名の方が亡くなられたとの発表がありました。 イオンモールの爆発で5名、日本製紙八代工場で5名の方が亡くなられているという報道でしたが、心肺停止の方や安否不明の方の今後の状況で、残念ながら死者が増える可能性があります。また、大きなインフラにおける被害情報は徐々に明らかになってきておりますが、一般家屋の倒壊などの被害状況は、まだ完全には把握しきれていない可能性も高いと思われます。震度3以上の余震も60回を超えているとのことで、大きな余震があれば二次災害のリスクも鑑み、救助活動の遅延にもつながるのではという懸念もあります。 一部地域では断水もあり、上水道の機能低下、麻痺もあるようですが、今のところ、大きな下水道機能不全はないようです。 高速道や新幹線を含めた電車が止まっていたりという、交通手段の機能低下も続いております。 現在、どれほどの規模の避難所の設営がなされ、避難を要する人がどれほどおられるのか、分からないのですが、現状を考えると、避難を必要とする方は増えてくるものと推察されます。 私が東北の震災でいくつかの避難所を訪問診療で回ったのは3月と5月でしたので、季節の差はありますが、その時の経験を踏まえて、今後の懸念事項を考えました。 @上下水道の機能低下、麻痺に伴う衛生環境の悪化。食中毒や胃腸炎の拡大の懸念。 A例年で行くと、今後COVID-19の夏の流行期に入りますので、COVID-19やヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルスなどの上下気道感染の感染流行。それに伴っての、特に高齢者、乳幼児の呼吸状態の悪化。 B高温、多湿環境のための、室内にいながらの熱中症、暑気あたり。 Cかかりつけの医療機関が被災している場合、受診差し控えによる原疾患の増悪。 D活動量の低下と脱水傾向による深部静脈血栓症、エコノミークラス症候群の発症リスクの増大。 E避難生活の長期化に伴う、うつや不眠などの精神的不調 F狭い空間での人間関係によるトラブル。 G根拠のないデマ情報やいわれのない誹謗中傷などの被害 現在、熊本の被災地での医療機関の営業状況まで把握しておりませんが、東北の震災の際は、多くの医療機関が津波の被害を受けて、数か月営業自体出来ておりませんでしたから、避難所での診療で、血液検査もできず、インスリンを使用している糖尿病の方の治療やワーファリン内服の方の投薬をどうすべきか、非常に悩んだ経験がありますので、今回、できうる限り被災周辺の医療機関が早期に通常診療ができるようになることを切に願います。 高温のため冷房をつけている分、換気が不十分にならないように心掛け、脱水にならないように水分補給をしっかりし、可能な範囲での手洗い、感染予防に努めていただきたいと思います。 冷房を何度に設定するかというだけでも、人間関係の軋轢を生む可能性があり、一か所に避難している期間がなるべく短縮されるよう、簡易個室住宅の設置が望まれます。 これから本格的な厳しい夏を迎えるにあたり、被災者の方も救護者の方も、熱中症対策を十分に講じていただきたいと思います。私も、被災地に対して、自分としてできる協力を行っていきたいと思います。 今回も含めて、地震などの天災は、まったくの対岸の火事ではないことを被災者でなくとも肝に銘じる必要があります。 近い将来想定される、南海トラフや東海地震、富士山や阿蘇山の噴火などがいつ来てもおかしくはないですし、日本全国で天災の懸念のない地域など存在しないのですから、天災の種類、季節、地域性などを考慮した、対策をしっかり講じておく必要があることを改めて認識しなくてはならないと強く思います。 今回、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたします。 |
|
2026年7月30日(木) |
|
<< 最近の話題から 2026.7.23 |
お盆の診療体制+α >> 2026.8.2 |
| はじめのページに戻る |