新型コロナ 個人的な印象 |
投稿:長野央希 |
昨日に続いて、新型コロナに関して個人的な印象、思いを書きますが、本日も確たるエビデンスもない事柄につき、適当に読み流していただければと存じます。 これまで、新型コロナ感染に携わり(といっても、患者さんの数は10数名という程度ですが)、また色々な報告を見て思うことは、新型コロナ感染患者さんは、同時にアデノウイルスや溶連菌感染等を併発している例が、しばしばあるのではないかということです。 元々、コロナウイルス自体が風邪を引き起こす代表的なウイルスの一つではあります。そのほか、ライノウイルスやアデノウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどが代表的な風邪の原因ウイルスではありますが、実際のところ、感冒症状で医療機関を受診しても、実際には何のウイルスが原因かまで検査していることはほとんどないと思います。大概は風邪は自然に改善、治癒していくことがほとんどですので、そこまで検査を行う必要性もない上に、特効薬があるわけでもないので、いっそうウイルスの道程を行うだけ労力の無駄と感じてしまうからでしょう。結果的に風邪を惹起するウイルスに関する研究はさして行われずに来ていると言えます。 2012年以降で中東にて感染が拡大していったMERSコロナウイルスの時は、2015年に韓国でクラスターが出たりと大騒ぎになっておりましたが、日本では感染が見られず、ほとんど対岸の火事の様な様相を呈しておりました。 これまでもコロナウイルス絡みの感染流行はしばしばあった可能性がありますが、やはりそこから研究の目覚ましい進歩は見られていないのが現状です。 そういった事情もあり、我々が風邪を引いた際に、単独のウイルス感染なのか、複数のウイルスや細菌の複合感染なのかなど分からないことだらけなのです。高齢者の死因において、依然として肺炎は上位にきます。風邪をこじらせて肺炎で亡くなった高齢者が、実際のところ、細菌性肺炎であったのか、ベースにコロナウイルス(新型ではなくても)感染などがあったのかも分からないのです。 感冒(風邪)ほど万人が罹患するものはなく、また「風邪は万病のもと」という諺があるにもかかわらず、まだまだ未開な分野であります。未開な分、風邪ウイルスの研究で、免疫系や発癌等の問題に関しても何らかの発見が期待できるのではと個人的には考えております。 尚、秋以降はインフルエンザと新型コロナの合併というのも問題になってくると考えられます。重症化をきたしやすいのか、どんな経過を取りやすいのかなど、医療者としても、注意深く観察していかねばならないと気を引き締めております。 |
2020年8月22日(土) |
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