コンプライアンス? |
投稿:長野 央希 |
ジャニーズ事務所の問題が大きく社会的に注視されている今日この頃です。 創業者のジャニー喜多川氏の性加害問題を事務所が認めたことで、スポンサー企業やテレビ局がコンプライアンスの問題から、所属タレントの起用を見直したり、取りやめたりと言うことが連日話題となっております。 ジャニー氏の性加害は児童虐待の側面も持つことで、その被害者の数からしても極めて重大な犯罪行為と言えそうです。そういった意味で、各企業がジャニーズ事務所との様々な契約を切っていくのは、ある程度やむをえないことではあります。とはいえ、非常に違和感を感じるのも事実です。 ジャニーズタレントは、これまで多くの企業の顔のようになっていたり、場合によっては国家的プロジェクトのアンバサダーのような役もこなしてきました。要は、政府も含めてジャニーズ事務所と相当親密な関係性を築いてきたという歴史があります。一方で、ジャニー氏の性加害問題は何十年にも渡って行われてきた所業で有り、かなり業界内では有名な話で有りながら、暗黙の了解のように臭い物に蓋をされてきたと考えられます。 表向きは政府も各企業も知らなかったとしらを切るかもしれませんが、間違いなく、その事実を把握しつつも、ジャニー氏あるいは事務所との関係性を崩したくないという思惑で、その犯罪行為を黙認してきたと言えます。 それが、ジャニー氏が亡くなり、国連までをも巻き込むような世界的な注目を浴びた途端に、事務所との関係性を断ち切りたがってしまうと言う、まるで後出しじゃんけんのような所業には、極めて不快な思いを抱いてしまいます。 国家も企業もジャニーズ事務所と一蓮托生な関わりを持っていたにもかかわらず、自分たちのイメージが損なわれるのを恐れて、急に倫理的に振る舞うこと自体、これ見よがしな偽善のように見えてしまうのです。結局は、政府であろうが、企業であろうが、性被害者への思いやりというのではなく、あくまでも自分たちのイメージを守っているに過ぎないと思えてなりません。もし、道義的、倫理的な正義感を持っているのならば、とっくの昔にジャニーズ事務所との関係を絶つ、あるいは注意喚起していてしかるべきはずなのにもかかわらず、何もしてこなかった訳です。これ見よがしな善を振りかざす人間ほど信用できない者は無いと思います。 自分としては、タモリ倶楽部が終わってしまってから、スポーツ中継以外でテレビを見ることがなくなりましたので、実際問題、ジャニーズタレントが出演を見合わされるようになったからと言っても、ほとんど関わり合いのない話ではあります。それでも、かつて都内で働いているときに、ジャニーズ所属タレントの方とお一人、接することが有り、その方が、とてもクレバーでかつ紳士的で、男の自分が見ても、憧れるような格好良さがあったという記憶が鮮明で、その人も含めて、ジャニーズタレントの方々が、事務所を移籍したりするなどしてでも良いので、今回の件で芸能活動や芸能生命を絶たれてしまわないように切に願います。 また、今回の件も含めて、今やコンプラインスという名の下に、色々な制約が社会を覆っています。そもそも、マスメディア、芸能界において、今のコンプラインスに照らし合わせて、活動を自粛しなくてはならない人が、相当数存在しているのではないかと思えてしまいます。芸能人であれ、スポーツ選手であれ、政治家であれ、いわゆる公人と言われる人で、そこまで品行方正な人などどれほどいるのでしょうか?些細なコンプライアンス違反を問題視していけば、もはやメディアに誰も登場させられなくなるのではないでしょうか。結果的に表面的な品行方正な人(蛮行を上手く隠せる人)ばかりが、社会で上に行くようなおぞましい結果につながってしまうのではないかと危惧する次第です。 更には、歴史上の偉人という人たちも、ほとんど品行方正な人などいませんので、現在のコンプライアンスからしたら、歴史の教科書から多くの偉人を抹消しなくてはならないでしょう。近現代で言えば、初代総理大臣の伊藤博文の女性関係の問題はなかなか有名な話で、明治天皇からも注意を受けていたというほどですから、もはや今の時代であれば、政治家どころか公人からも身を引かねばならないほどでしょう。歴史の教科書では目にぼかしでも入れるかというようなことになるはずですが、さすがにその功績の大きさから偉人のままでいられています。 我々の今のコンプライアンスというのを突き詰めていくと、芸能人であろうがなかろうが、存在自体が容認されないような、極めて生きにくい監視社会になっていく恐れがあることを我々は自覚する必要があるのだと思います。 |
2023年9月18日(月) |
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