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 『スマホはどこまで脳を壊すか』を読んで (1)
投稿:長野 央希
『スマホはどこまで脳を壊すか』(榊浩平著 朝日出版)を読みました。
かなり刺激的な題名ではあります。インターネットの普及から数十年という人類史からすれば微々たる時間経過とはいえ、あっという間に人間社会に欠くべからざる様な重要な位置を占めるに至ったツールが、一体人間にどういった影響を与える物なのかというのに、以前から興味がありました。
題名に負けず劣らず、内容も衝撃的な物でしたが、ある意味、何となく予想していたような部分もありました。
まず、スマホを含めたデジタル機器の使用過多が人間の前頭前野の発達を抑制してしまうと言うことでした。ネット使用頻度が高いことで、言語に関与する領域をはじめとして、様々な領域の脳の発達に悪影響を与えていると言うことも分かってきたようです。
そもそも、もともとコンピューターという物が、人間に楽をさせるための機械です。一方で、脳の発達は、色々な学習を行うという脳への負荷をかけることで成り立つ物ですので、楽をするためのコンピューターを使用しての学習という作業自体が矛盾を内包しているのです。
確かに、個人的な経験で、インターネットで読んだ知識というのは明らかに記憶に残り憎く、昔から自分は、プリントアウトして紙媒体で読まないと知識が習得できないという印象を抱いておりましたので、経験的にも科学的にもうなずける話であると思います。

更に、ネットというものは、使用頻度が増せば、依存症のようになり得ると言うことでした。台湾でのスタディでは、ネット依存傾向と心の健康が調べられた解析結果として、ネットへの依存傾向が高い人たちほど、注意欠陥・抑うつ・社会不安・敵意などの症状が高まるとのことです。
SNSで、他人の自己評価を気にしすぎたり、あるいは他者の発信する近況報告に嫉妬したりしていれば、当然抑うつ的になるのも当然と言えるのかもしれません。
また、コロナ禍のなかで、人とのつながりを持とうと、インターネットを介した交流が盛んに行われました。しかし、ネットを介した交流というのが、お互いの脳活動が同期せず、要するに十分なコミュニケーションが得られないと言うことも分かってきたようです。
個人的には、ズーム飲み会はやったことがありませんが、コロナの最中は、度々医師会のズーム会議に参加していましたので、色々な意味で、イライラしてフラストレーションがたまったのを強く覚えています。
どう考えても、対面での会議に比べると、実りの少ない物であることは間違いないように思います。

2023年7月6日(木)

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