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 熱中症
投稿:長野央希
遅い梅雨明けから、一転して連日うだるような暑さが続いております。このような高温多湿の状態で、最も懸念されるのが熱中症です。
屋外のみならず、屋内でも熱中症の危険は高く、むしろ、屋内で生じる熱中症の方が、より危険性も高いと言われています。
魚沼の方で訪問診療をして、感じることとしては、やはり御高齢の方は、若い時から耐え忍ぶという習慣もあり、かつ冷房などの冷風が嫌いというような好みもあってか、非常に室温が高い傾向があるという点です。また、日頃の習慣や、尿が近くなるなどの理由で、水分摂取量も少ない方がしばしばおられます。幸い、魚沼は、夜間になると、気温としては過ごしやすくなったり、近くの川や沢からの風で涼しくなるため、何とか事なきを得ているように思われますが、そういう環境でなければ、間違いなく熱中症患者が多発する恐れがあります。
因みに、私は北埼玉で働いておりましたが、同地は夏場は40℃近くにも気温が上昇しますので、命にかかわるような熱中症をいくつも経験しました。もっとも記憶に残っている症例としては、6月ながら、日中30℃半ばまで気温が上昇したときに、車内で脳出血を起こして、動けなくなっている中で、高温の車中にて重度の熱中症をきたしたというものでした。気管内挿管の上で人工呼吸器管理を行い、一時的には気管切開まで施行し、集中治療を行ったことで、救命は出来ましたが、それまで自分で運転までしていた方が、車椅子生活を余儀なくされ、脳出血の影響で麻痺も残り、嚥下機能も低下するということで、著しい生活水準の低下をきたしてしまいました。頻回に御家族への病状説明は行いましたが、奇跡的に一命はとりとめたことを喜ぶ半面、後遺症のためにADLが低下したことに、大きなショックを受けていることがありありと伝わってきました。
また、北海道時代には26℃でも若者が熱中症で搬送されてきたりも経験しました。やはり日頃慣れ親しんでいる温度よりも高い気温となると、脱水などの影響も相まって容易に熱中症をきたすことが伺えます。
老若男女を問わず、熱中症の危険はありえますし、現状のコロナ以上に生命の危機に直結しかねないものなので、十分注意していただきたいと思います。
高温の屋外に長時間いないようにする、室温はこまめに調節する、水分補給をしっかり行うなどの点を気を付けていただきたいと思います。
取り分けて御高齢の方は、のどの渇きを自覚しにくく、実際に口渇感を自覚する場合は、脱水が進行している可能性がありますので、口渇感がなくてもこまめにスポーツドリンクや経口補水飲料(水分1Lに対して食塩1〜2gを溶かして飲んでも可)などを摂取するように心がけてください。

2020年8月13日(木)

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