レジオネラ |
投稿:長野 央希 |
先日、福岡の温泉旅館のレジオネラ属菌の件がなかなかな話題になりました。 続報があるかと思いきや、その後はよくわからなくなっておりますが、悪い意味で感心させられた出来事と言えます。 昭和天皇もご宿泊されたというほどの格式も歴史も由緒もあるような旅館なのでしょう。しかし、今回の件は、あまりにお粗末というほかないような話です。 かけ流しの温泉なので、年に二回しか、温泉の水抜きをしていなかったということも驚きですが、その言い分が「レジオネラが大したことのないもの」と認識していたということにも、更に驚かされました。 レジオネラ属菌は、最初に世界的に認知されたのが、いわゆる在郷軍人病としてでした。 米国の退役軍人の集まり、1976年の在郷軍人会で大量感染したことで注目されました。 レジオネラ属菌自体は、河川や湖、温泉、土壌など自然界に広く生息しているものですが、これを吸入したり、飲み込んだりすることで感染します。 ポンティアック熱のように、肺炎症状はなく、インフルエンザ症状のような発熱、悪寒、筋肉痛などの症状を伴うものの、自然に回復してしまう場合と、レジオネラ肺炎のように肺炎を引き起こしてしまう場合があります。 幼児や高齢者は重症化しやすいとされております。 しかし、実際に、私も40代のレジオネラ肺炎の方で、人工呼吸器管理を要した方を診ていましたので、若者といえども決して侮ってはいけない細菌であるといえます。 今回の福岡の事例も、いつからこのようなずさんな水場管理をしていたのかはわかりませんが、よく今まで大事にならなかったなと思います。 死者が出なかったのが不幸中の幸いとしか言いようがありません。 また、オフィスのボイラーから感染したケースもありますから、多くの人が、他人事とも言えない感染症です。 60℃の温度に5分さらされると、殺菌されますので、適切な予防策を講じる必要がありますし、この細菌自体は、基本的にニューキノロン系やマクロライド系の抗生剤が有効ですので、過剰に恐れないことも重要です。 コロナが落ち着くことで、多くの人が旅行に出かける様になるでしょうから、温泉施設や水辺へ遊びに行く際には、適度に注意をしつつ、楽しんでいただきたいと思います。 |
2023年3月6日(月) |
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