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 大口病院事件
投稿:長野央希
2016年に起きた神奈川県の大口病院での看護師による3名の入院患者殺害事件に関する裁判が行われております。検察側は死刑を求刑しており、被告も「死んで償いたい」と述べており、犯した罪状からも極刑は免れないのではないかと思われます。
一方で、弁護側は統合失調症による心神耗弱を理由に減刑を求めておりますが、社会的に衝撃を与えるような事件では、このように精神疾患を理由に減刑を図ろうとする構図がしばしば見受けられます。正直な感想として、毎度、こういった弁護側の姿勢に違和感を感じてしまいます。そもそも、今回の被告は統合失調症という診断が確かなのかもよく分かりません。また、仮に統合失調症であったとしても、弁護側の言い分から、一般の人達が統合失調症患者は危険な存在なのではというような偏見を植え付けてしまう恐れがあることを、弁護側はよく理解する必要があると思います。一人の被告を救わんがために、100人に1人はいると言われるような統合失調症の患者さんの多くを社会的な偏見にさらすという結果に導いてしまうことがとても残念に思えてなりません。
また、私も色々な病因で勤務してまいりましたので、多くの看護師と一緒に働いてきました。沢山の人がいれば、それぞれのキャラクターも千差万別であります。当然、一部には人間的に問題がある人もおります。それでも、多くの人は一生懸命に患者さんのためを考えて、働いている人が大勢を占めていると思います。医療職が経験不足で、実力がまだ十分備わっていないために、結果的に患者さんのためにならないような事態を招くこともないわけではありませんし、病棟の忙しさのために、ミスが生じてしまうことも、現実問題にはあります。ミスをしない人間はいないのですが、そういった完ぺきではない人間(完璧な人間などいないと思います)が働いている中で、いかにミスを最小限にとどめ、患者さんが不利益を被らないようにできるかを考えていく必要があります。
今回の大口病院に関して言えば、報道の情報が確かであれば、かなり院内の職場環境が芳しくなかったように思われます。
職場環境が悪ければ、一人一人の職員も気持ちよくは働けず、自分たちの実力も十分には発揮できないと言えます。むしろ、場合によってはミスが多発してしまう可能性も高まってしまうかもしれません。
加えて、適材適所での人材登用が出来ていれば、なおよい結果につながるとは思います。
一度にいくつもの情報や指示を受けて、そこから優先順位を導き出して、迅速に対応できる人は、急性期病棟や救急病棟向きと言えます。しかし、そういった人が、ある患者さんとじっくり腹を割ってじっくり話し合うことが得意とは限らず、そういった一人の人と時間をかけて面談できる能力がある人は慢性期病棟向けであったりするのだろうと思います。そういった性格は個々人で当然異なりますので、自分の得手不得手に見合った職場で働けていれば、その個人にとっても、組織にとっても、最終的には患者さんにとっても有益であると言えます。現在の日本で、そこまで人員も多くない状況では、なかなか適材適所で人員を配置することは難しいとは言えますが、人事に関与している人というのは、組織の根幹を預かるという意味でも極めて重要であると思います。

2021年10月25日(月)

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