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 中国のこと(2)
投稿:長野央希
私は歴史が好きで、中国の古代史にも強い興味を持っています。
漫画の『キングダム』は中国の戦国時代末期から秦の時代を描いているもののようですが、実は自分は読んだことがありません。横山光輝や宮城谷昌光の作品を読みふけっている時期がありましたが、恐らくそれが古代中国史に関心を持つきっかけとなったものと思われます。
私がとりわけ興味があるのが、春秋から戦国時代中盤頃までと言えます。戦国時代末期は、秦の攻勢により他の国々が青息吐息の状況となっている時代で、何か切ない感じを持ってしまうのです。勿論、その時代にも魅力的な人物や、関心を抱く人物もたくさんいます。特に楽毅という傑物は、中国史をっとしても、最も好きな人物の一人です。弱小国であった燕の昭王に仕え、その忠義深さに心を打たれるとともに、武将、政治家としての能力の高さも含めて、男が惚れる漢という感じに思われます。
また、秦の昭王にも色々な欠点もありながら、何か心惹かれるものがあります。彼の時代に、宰相であった范雎や武将の白起などの活躍によって、一気に秦が強大化していきました。昭王は何となく、常に王としての孤独を感じながら、范雎には友情のようなものを感じていたのではないかという、何か人間らしい悲哀に対して愛着を感じたりしてしまいます。
戦国末期も面白いのではありますが、やはり多くの国々が群雄割拠していた春秋、戦国時代中盤までの方が、活き活きとした面白さがあるように思われるのです。そして、そういった時代に諸子百家のような様々な学問が生まれていきました。その中で、特に興味を抱くのが法家、兵家と老荘思想です。
兵家の代表が孫子の兵法になるかもしれませんが、今読んでも孫子の兵法の普遍的なすごみには感嘆を禁じ得ません。かのナポレオンも愛読していたと言われるくらいで、どの時代にも人間の本質が変わらない以上、孫子の説は通用するものと思われます。孫武が生きていたのが紀元前500年代であり、孫びんが生きていたのが紀元前300年代ということからも2000数百年前に、これほどの発想ができる人がいたこと自体が、中国の奥行を感じるのであります。特に有名なフレーズで「己を知り、彼を知れば、百戦すれども危うからず」がありますが、全くその通りでありながら、これを実践することが極めて難しいと言わざるを得ません。個人的にも、そもそも自分自身を知ることだけでも実に難しいのを実感します。日清、日露戦争で日本が勝てたのは、一つはこの自己と敵とを極力理解しようと努めたからとも言えましょう。
一方で、太平洋戦争では、この思想が徹底されていなかったように思えます。まず、自分の国力をしっかり分析できず、かつそれまで敬意や畏怖の念を抱いてきた欧米に対しても、相手を侮るような姿勢が垣間見え、日本は孫子の兵法からすれば、あまりにもその逆を行くような下策を取りすぎてきた感が否めません。
古代中国の思想は今に至るまで、古びることなく通用するものが少なくないと言えます。(個人的には儒教的な思想はあまり好きではありませんが)そういう面では、私は中国に敬意を表したいと思います。
とは言え、古代と今の中国では、騎馬民族の侵略などによって民族的にもだいぶ変化しているのが現実であるのです。

2021年10月1日(金)

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