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 血液型と免疫学
投稿:長野央希
最近、『血液型と免疫学』(藤田絋一郎著 宝島新書刊)を読みました。
藤田先生と言えば、寄生虫学者・感染免疫学者として著名で、サナダムシを自分の腸内で飼育していることでも有名なユニークな学者でした。今年5月に御逝去されており、恐らく、亡くなる少し前に書き上げた著作と思われます。
新型コロナ感染が今尚、終息の見えない状況で、度々に血液型とコロナの感染のしやすさや重症化のしやすさの関連を論じた論文が出てくるようになっており、にわかに血液型と免疫との関係性に注目が集まるようになっているのを受けて著わされたものでしょう。
手放しで全面的に受け入れる内容ではない者の、とてもユニークな着眼点で、従来の思考に一石を投じているように思われます。
著作内でも言われておりましたが、血液型と性格などを関連付けること自体がエセ科学的であると言われてきました。
この本で言われていることとして@血液型によって、リンパ球の割合やNK細胞数に若干の差がある点で、生来の免疫力に差が出てくるであろうこと
A人間よりもはるか以前より存在するような細菌などの微生物や動植物にも人間の持つ血液型物質を有しており、血液型によって有する抗A抗体や抗B抗体が、微生物のもつ血液型物質に対して抗原抗体反応を示すことで、どの感染症に対して強い免疫力を示すかが異なってくる
B食物も血液型物質を有しており、血液型によっては体質的に合う合わないという可能性がありえること
C歴史的にO型は梅毒に対して強かった等の点で、人間関係にオープンで、おおらかな性格が作られたりと、免疫と感染との関係性から、血液型と性格形成に一定の関連があるのではないか
というようなことを述べておられます。
先程も申し上げた通り、全面的に受け入れてい良いものなのかという面もありますが、なるほどなと思わされる面も少なからずあります。
実際に、血液型と遺伝子や分子生物学的な解明というのは、実はまだまだ十分解明されていません。
そして、長きにわたり、血液型で免疫力に差が出たり、ましてや性格的な特徴が出るはずがないというのが、科学の主流としての考え方でしたから、こういった分野の研究がおろそかになっていた面はあるようです。
血液型によるストレス耐性の差から、癌になりやすい可能性なども論じることが出来るようになれば、少なくともストレスをためないような生き方をどうするかなど、お金をかけることなく、自分のライフスタイルに生かして、生活できるようになるかもしれません。
健康は必ずしも金で買う必要のあるものではなく、お手軽(金銭的に)に生活習慣を変えるだけで十分な場合が多いと思います。予防医学の多くは生活習慣の改善させることで効果が得られます。

血液型と言う単純なようで奥深い分野の研究がこれからますます進み、コロナに限らず、色々な感染症や疾患との関連が論じられるような時代が来るのかもしれません。

2021年8月30日(月)

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