熱中症に御注意を |
投稿:長野央希 |
五輪開始後、一都三県の首都圏で新型コロナ感染者数が増加の一途をたどっております。それに呼応するように、新潟県内の感染者数も増加してきております。一時、当院でのPCR検査希望者数も減少しておりましたが、ここ数週間で再度、検査件数も増加傾向にあり、それに伴って、陽性者数も微増しております。都内の増加があれば、当然、地方でも増加してくるのは自明ではあります。 一方で、最近の発熱外来受診者の診察にあたっておりますと、やはり、現在の気温を反映して、熱中症やそれに準ずるような病態の方が多くなっております。特に若くて体力のあるような方が、仕事で高温の環境下で労働していたり、あるいは換気の不十分な屋内で仕事をしていたりして、帰宅後に熱が出るというようなパターンが散見されます。 受診時に、水分の摂取状況を確認すると、たいていの方は「水分は取るようにしていた」とおっしゃいますが、現実のところ十分な量の水分摂取がされていないことがしばしばです。 人間は、生きている限り、水分が喪失しております。不感蒸泄というのは、発汗以外での皮膚や呼気からの水分喪失のことを言いますが、これが健常成人でおよそ900ml/日(皮膚で600ml,呼気で300ml)程度と言われております。気温などの条件で、不感蒸泄量は大分変動しますので、現在のような高温多湿では、更に量が増加します。要は夏場は1Lもの水分が、知らぬ間に失われているということです。加えて、発汗と、大小便からの水分喪失も加味されて、結果的には1日に2〜3L近くが水分の排出につながっていると計算できます。従って、それを上回るような水分を摂取しなければ、充分な水分摂取とは言えないということになります。殊に、不感蒸泄は発熱や熱傷、過換気状態で、更に増加しますから、熱中症のような発熱、過換気を生じやすい状況では、更に水分の喪失につながるのです。 それを考慮して、どういうような職場環境、あるいは生活環境なのかを考えつつ水分摂取量を変える必要があります。(腎不全や心不全がある方は、やみくもに水分摂取をすればよいというわけではありませんので、御注意が必要です) 特に、体力に自信がある方は、自分を過信して、水分摂取量が少なくなっているような傾向も伺われます。 新型コロナ感染も一部の人にとっては重症化したり致死的になるという危険がありますが、熱中症は、それ以上に命にかかわりかねません。まだ、これから一か月半程度は猛暑が続く恐れがありますので、皆さんご自愛ください。 |
2021年7月30日(金) |
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