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 民主主義の限界
投稿:長野央希
戦後に生まれ、育った人たちからすれば、国家の政体が民主政治であることは自明であります。民主主義の利点と言えば、当然のことながら、民意が反映されやすいであろうということになるかと思います。確かに、王政や貴族政、寡頭政などに比べれば、はるかに多くの国民の意見は取り上げられることは間違いないでしょう。ただ、ここで注意すべきことは、民主主義は、数の論理であるということです。すなわち、多数派の意見が採用されるということで、少数派の意見は残念ながら無視されたり、取り上げられない可能性が高いということになります。そして、多数派の論理が必ずしも、正しいとは限らないことにも注意を向ける必要があります。民主政治がしっかり機能する大前提として、国民の多くが勤勉で、誠実で実直であることが挙げられると思います。この根底が崩れれば、民主主義の多数派が自己の利益のみを追求するような拝金主義や衆愚政治に陥ってしまいます。国民が勤勉でなくなり、その場しのぎの快楽ばかりを追求するようになれば、確実に民主主義は衆愚政治へと転落していきます。今の日本はどうなのでしょうか?よく考える必要のある時であると思います。
国が富み栄え、国民の多くが飢餓や戦争の恐怖から解放されると、国民は極力、自分の手を汚したがらなくなります。結果的に、国民から勤勉さが欠如していくようになり、怠惰になっていきがちです。古代ローマ帝国も、従来のローマ人が堕落していき、最終的に奴隷であったようなゲルマン人にとって代わられていくような憂き目にあっています。
また、国民のレベルが低下すれば、その国民が選ぶ政治家のレベルも低下していくのは必然です。昨今、政治家のレベルが落ちたと言われますが、それは国民のレベルを反映している結果であると言えましょう。政治家は当選するためには国民に迎合する必要が出てきます。その国民が快楽主義であれば、政治家は、国民に甘い汁を提供しようとします。かつて行えていたような、国家百年の計のような長期的展望に立った様な政策は立案、実行は甚だ難しくなっていると言えるかもしれません。我々国民が、平時において、戦時を思うような、日々修練を続けない限り、政治のレベル低下には歯止めがきかなくなってしまうでしょう。
加えて、民主主義の問題点は、迅速さに欠けるきらいがあるということです。民主政治の根本は議論です。議論を尽くして、よりよい政策を立てていく事こそが、民主政治の利点ではあるのですが、議論には時間がかかります。戦時や天災や現在のようなコロナ禍においては、何よりも時間が肝要であるのですが、その点では迅速さに欠けてしまいます。このような非常時には、かつてのヴェネチアの様に、政治家の中でさらに選抜された少数の者が政策を立案、実行出来るような迅速さが必要な気もします。

いずれにしろ、現代の日本において、民主主義は正常に発展しているのか問い直すべき時期であると思います。民主制はその理念は最も優れているとは思いますが、人間の人間性というものを考えた時に、民主制がその崇高な理念を維持し続けられないかもしれないという疑問にぶつかります。本当に民主制が最も優れた政体なのかも、同時に考えてもいいのかもしれません。

2021年7月16日(金)

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