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 欧州選手権開幕
投稿:長野央希
サッカーの欧州選手権(EURO2020)が一年遅れで開幕しております。今大会では、フランスが優勝の最有力候補となっておりますが、確かにメンバーや監督のデシャンの手腕などを考えると、フランスでよく起きるようなチーム内分裂がなければ、相当強いとは思われます。私は、以前からイングランドのプレミアリーグが好きであったこともあり、イングランドを応援しておりますが、サウスゲート監督の人心掌握と、各ポジションに才能ある選手がいることから、かなり下馬評は高いと言えます。ただ、イングランドは、常にすごい選手がいても、勝負弱さを露呈するケースが多かったので、今回はどうなるかというところではあります。昨日行われた強豪のクロアチアとの試合を1対0で下しており、初戦のプレッシャーをはねのけられたのは大きかったのではないかと思います。
イングランドと並んで、私が以前から好きなチームはデンマークとチェコです。デンマークは、P.シュマイケルやラウドルップ兄弟が主力だったころから応援していました。(好きなハードロックバンドのプリティ メイズがデンマークのバンドであったことも関与していますが)
今回、デンマークは初戦にフィンランドと対戦しました。この試合中に、主力のエリクセン選手が心停止状態となり、迅速な心肺蘇生術のおかげで、一命を取りとめました。現状、原因はまだわかっていない模様ですが、自発の呼吸もあり、会話も可能ということで、一安心ではあります。心肺停止やそれに準じた状態の際には、時間が極めて重要です。初動の対応が迅速であればあるほど、救命にも、その後の後遺症の予防にもつながります。そういった意味で、今回の件は、ピッチ上にいた選手たちや、そのほかのスタッフ、チームドクター達のファインプレーであると思います。
EUROやW杯が始まるたびに、一人の患者さんのことを思い出します。埼玉で働いている時に担当した30代の急性骨髄性白血病(AML)の患者さんです。彼は、小さい子供を持つ父親でしたが、いわゆる好青年といった人でした。色々と抗がん剤による化学療法を行っても、寛解に至ることはなく、某大学病院の先生と相談し、厳しい中で移植治療を行っていただきました。結局、移植治療によっても、AMLは増悪し、最終的には私が御看取りをしました。彼は、自分もバドミントンをやるスポーツマンでしたが、サッカーも好きでした。当時は、確かW杯の時期であったかと思いますが、よく優勝予想や、前日の試合の寸評などを話し合ったことが、鮮明に思い出されます。
また、高校野球関連でも同様の様に思い出す患者さんがおります。魚沼で働いている時に担当した患者さんですが、高校球児のAMLの方でした。彼は、半年近い入院での化学療法で寛解に至り、退院し、無事に高校も卒業していきました。私が、魚沼を去ってから再発して、都内の大学病院で治療を行っていましたが、病状は悪化し、お亡くなりになられました。彼は、シャイながらも、礼儀正しい人で、あまり日本のプロ野球には関心がないと言っていましたが、MLBの大谷選手は好きだったようで、大谷選手の話や高校野球の話で盛り上がったことが思い出されます。
長く、医者を続けていると、あまり成功体験を思い出すことはなく、上記のような悲しいことやつらいこと、悔しいことばかりを思い出します。だからこそ、反省し、次につなげるような糧となるのだとは思いますが、夜寝ようとしている時に、ふと、そういったことを思い出すと、しばらくの時間、やりきれないような思いと、自分が人の命を預かっていることへの恐怖のような感情がこみあげてくることがあります。医者を引退したら、こういったことから解放されるのだろうか、であれば早く退役したいなどと考えることもしばしばあります。そんなときに、何とか踏みとどまっているのは、治療して回復した患者さんの笑顔や、感謝の言葉があるからだと思います。
EURO2020が開幕し、何だかあれこれ考えてしまう今日この頃です。

2021年6月14日(月)

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