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 戦争の変遷(2)
投稿:長野央希
メディアとの付き合い方で戦争の勝敗に影響が出るのは、以前からありました。
司馬遼太郎が『坂の上の雲』でも書いているように、日露戦争当時の戦争の行司役は、ロイター通信とタイムズでありました。マスコミを邪険に扱ったりすることで、自分たちが局地戦に勝っていても、相手有利と報道されてしまうと、公債が売れなくなったりしました。莫大な金のかかる戦争で、戦費調達がうまくいかなければ、当然戦争継続も困難になり、最終的には敗戦につながります。
以前より、メディアとの関係性が戦争遂行において、大きな重要性を持っていましたが、湾岸戦争以降は、戦争に関連するメディアの姿勢にも大きな変化が出てきている模様です。例えば、太平洋戦争当時は、日米両国とも、「鬼畜米英」などの標語を使って、敵を憎むように洗脳し、挙国一致で、戦争を行っていたのに対し、湾岸戦争以降は、国内でも、敵国よりの意見を述べるようなメディアもあり、必ずしも国内が一枚岩になり切れなくなっているきらいがあります。更には、以前はメディアと言えば、新聞社やテレビ局を指していましたが、現代では、SNSなどを含め、有名無名の個人個人がメディアになりえるという変化も生じております。従来のマスメディアも偏りのある情報を流したりということもありましたが、個人個人となると、更に偏った情報を流したり、偏った情報を狂信的に信じ込み、更に妙な持論を述べたりするようになりえるのです。
加えて、いわゆる敵国や中立でも、敵に与した意見を述べるような個人によって、その人がいわゆるインフルエンサーであったり、その発言がたとえ間違っていても、説得力を持っていたりすれば、それによって感化される多くの人が出てきてしまう懸念が生じます。中には、敵国のスパイがメディアを利用して、敵国に有利になるように、情報を操作してしまう危険もあり得ると思われます。また、スパイをする気などなくても、敵国を利するような情報を考えなしに、SNSで発信してしまうことも起こりえるのです。潜在的なスパイが国内に多数出現してしまうという危険を現代社会ははらんでいると言えましょう。以前であれば、敵は相手国のみ、あるいは少数の自国内のスパイのみであったものが、湾岸戦争を契機に、かつ、9.11の同時多発テロ以降拍車をかけて、自国内に多数の敵が存在するという恐ろしい時代になってきていると考える必要があると思われます。
日本は、武士道の影響か、多くを語らず、黙々と任務を遂行することに美徳を感じる国民性がありました。結果的にメディアとの接し方に、未熟な部分があるような気がしますが、これからは、細心の注意を払わないと、亡国の危機を迎えてしまうのではないかという危惧を抱かざるを得ないです。国として注意を払うと同時に、個人単位でも、その気はなく、敵に加担してしまうようなことになりかねない時代であることを認識して、行動しなくてはならないのではないかと思います。戦争において、メディア戦術が極めて大きな要素であることを肝に銘じるべき時代になっているのであろうと考えます

2021年6月8日(火)

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