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 大坂なおみ問題
投稿:長野央希
テニスの大坂なおみ選手が、全仏オープンでの記者会見を拒否した問題が、大きな波紋を呼んでいます。当初は一方的な会見拒否をしていることを叩くような風潮が強かったのに対して、その後、本人のうつ病告白で、大坂選手の味方をするような、更に大会主催者側を叩くような風潮に変わってきているように思われます。
マスコミ報道なので、大坂選手の真意や大会主催者側の考えなども、しばしば偏りのあるような報道となっていますから、詳細が分かりかねる部分が多々ありますので、あまり無責任な発言は控えますが、いくつか違和感のようなものを感じています。
一つは大坂選手の告白している「うつ病」に関してです。この「うつ病」が双極性障害と呼ばれるような本当のうつ病なのか、いわゆるうつ状態なのかというい疑問があります。多くの著名人や、時にマスコミも、うつ病という言葉の使用を誤っているのを見かけます。本当のうつ病というのは、そもそも生易しいものではありません。勿論、程度の軽重はありますが、多くの場合、カウンセリングだけで良くなるようなものではなく、抗うつ剤などの投薬治療や、時には電気けいれん療法のような治療を要する場合もあります。一方で、うつ状態は誰でもなります。仕事でへまをした、上司から叱られた、試合で負けた等々のことで、誰でもうつを経験します。これは、大概の場合、他に憂さを晴らすようなことをすることで、改善はします。うつ病とうつ状態は混同すべきような言葉ではないのです。大坂選手クラスのプレーヤーともなると、その重圧たるや、我々一般人からは想像もできないものではありましょう。まだ20代の女性が一人では対処しきれないようなプレッシャーを日々感じているのも理解できます。そういう意味では、うつ病であるか否かは別としても、日々、精神的な不調を感じていてもおかしくはないのでしょう。
ただ、大坂選手のうつ病がどの程度のレベルの物か分かりませんが、会見をするのは無理だけど、テニスのプレーはできるというのは、違和感は残ります。(ごたごたがあって、結果的に大会を棄権しているのが、鬱の病状悪化のせいなのかどうかも分かりませんが)見る人によっては、わがままと映ってしまう恐れがあります。そういう意味では、記者会見を欠席するからには、鬱の診断書を提出するなどの対応を取っていれば、大会開催者側との無駄な軋轢も防げたのではないかと残念に思います。
また、大坂選手がうつ病を告白した時から、それまで彼女を批判していたような人たちまでが、大坂選手びいきな発言に変わったのも、強く違和感を感じてしまいます。「うつ病に苦しんでいる人を支援しています」「弱者の味方です」ということをこれ見よがしにアピールしているように思われてなりません。これは私がゆがんだ考えの持ち主だからなのかもしれませんが・・
更に、一部報道では、大坂選手が黒人とアジア系との混血で、それに対して、記者会見では白人記者が主体だからと、差別問題まで持ち出してきているものも見られましたが、これも「社会的弱者に寄り添っています」という姿勢を示しているようで、非常に偽善的な違和感を覚えてなりません。
現代社会では、色々な意味での弱者が存在します。当然、自分自身も、いつ何時、その弱者の中に入るか分かりませんから、弱者の味方でいることは大事ではありますが、同時に「弱者の味方」を演じているだけの人間も少なからずおり、注意が必要に思われます。加えて、いわゆる弱者の方が、常に寄り添ってほしいと考えているわけでもないことを想起する必要があると思います。場合によっては非弱者が独善的な思いやりを弱者に押し付けてしまっている可能性もあることを考える必要があるのではないかと思います。

2021年6月2日(水)

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